
名古屋の地下鉄“激混み区間”ランキング 東山線と名城線がトップを争う 交通局「時差出勤の参考に」

1日に約126万人が利用する名古屋市の地下鉄。
朝と夕方の混雑状況を、名古屋市交通局が毎週発表しています。
最も混雑する区間はどこなのか、交通局に聞きました。

名古屋市交通局ホームページの「地下鉄」コーナーを見ると、お知らせ欄に「地下鉄各路線の混雑状況について」という項目があります。
東山線、名城・名港線、鶴舞線、桜通線の4路線について、朝夕の通勤・通学時間帯の混み具合を「座ることができる」から「間隔を空けて立つことができる」「隣の人と肩が触れ合う程度」「混雑している」「かなり混雑している」まで、5つの色に分けて示しています。
駅の自動改札機を通った人数をもとに推計していて、新型コロナウイルスの流行で「3密」が避けられた2020年10月に始まりました。
毎週水曜日の混雑状況を、翌週に公表しています。
朝8時から8時半が最も混雑

「混雑している」区間は、午前7時台からみられ、午前9時を過ぎるとなくなります。
特に混雑が多くなるのが、各路線とも午前8時~8時半に名古屋市中心部に向かう区間です。
最新の10月15日の状況をみると、午前8時~8時半の「混雑している」区間は、東山線の高畑方面は本山から伏見までの7区間。鶴舞線の上小田井方面は、植田から上前津までの8区間。桜通線の太閤通方面は、桜本町から久屋大通までの10区間中9区間です。
また、名城線右回りは、金山から久屋大通までの5区間のうち4区間が「混雑している」で、金山→東別院間は赤色の「かなり混雑している」となっています。
交通局によると、赤色は「体が触れ合い、相当圧迫感がある。ドア付近の人は身動きがとれない車両もある状況」です。
交通局は「混雑状況はあくまで推計で、車両によっても違う」と、具体的な数値を公表していません。
それでも、2024年11月に調査した混雑状況の上位区間を聞きました。
混雑区間のトップは

1位は、朝の東山線の名古屋→伏見でした。
東山線は、1日あたりの乗車人員が全路線で最多の47万5400人(2024年度)です。
名古屋駅にはJR・名鉄・近鉄などが乗り入れ、栄方面に向かう人が東山線に集中します。
朝夕の時間帯、東山線は全路線で最も短い約2分間隔で運転していますが、それでも最も混雑しています。
2・3位は名城線

2位は、朝の名城線の東別院→上前津。
3位は朝の名城線の金山→東別院で、名城線の区間が続きました。
金山駅はJR・名鉄とつながり、三河・知多方面から栄方面に向かう人が集中します。
名城線の1日あたり乗車人員は、東山線に次いで多い38万2400人。金山~栄の区間は名港線も多く乗り入れるため、朝夕の運転間隔は約3分です。
ただ、今年10月の状況をみると、赤色の「かなり混雑している」区間は、全路線の中で金山→東別院だけという週がみられます。最近は、この区間が混雑のトップになっている可能性があります。
車両のサイズの違いも

このように、トップ3は東山線と名城線の区間で、いずれも朝の通勤・通学時間帯です。
東山線と名城線は利用客数が多いのに加え、車両のサイズが他の路線より小さくなっています。
1車両(中間部)の定員は、東山線と名城線は107人ですが、鶴舞線や桜通線は140~152人。こうしたことも、混雑状況に影響しているようです。
一方、鶴舞線や上飯田線は名鉄の列車も乗り入れています。名古屋市交通局は名鉄の乗客数をカウントしていないため、発表している推計よりも混雑している可能性があるということです。
夕方の混雑上位区間

夕方の帰宅時間帯についても、混雑の上位区間を聞きました。
1位は伏見→名古屋、2位が栄→伏見、3位が名古屋→伏見と、いずれも東山線でした。
ただ、帰宅時間は分散傾向にあるため、朝ほどの混雑はみられないということです。
コロナ禍はこんなに少なかった

交通局が混雑状況の推計を始めて5年になりますが、どのような傾向がみられるのでしょうか。
まず、コロナ禍で落ち込んだ利用客が着実に増えています。
コロナ禍の時期は、オレンジ色の「混雑している」が明らかに少なかったことがわかります。
利用客数は回復しつつありますが、最新の2024年度の1日あたり乗車人員は、コロナ禍の前の2019年度と比べ、まだ約7万人(5%)少ないといいます。
4月の朝が最も混雑
もう一つは、1年の中で4月の朝が最も混雑するということです。
地下鉄の利用客は高校生や大学生も多く、4月は新入生らがまとまって8時~8時半の時間帯に乗るためではないかと交通局は考えています。
5月以降になると、部活動に入るなどして、通学時間が分散するようです。
また、学校が夏休みの8月は明らかに混雑が少なくなります。
交通局は「時差出勤」「座席前まで移動」を呼びかけ

混雑状況を公表していることについて、交通局は「時差出勤の参考になれば」といいます。
通勤・通学の人は定期券があるのでルートを変えることは難しいですが、名古屋→栄方面は東山線よりも桜通線の方が混雑が少ないため、名古屋駅で桜通線への分散乗車を働きかけています。
また、混雑する車内では、手荷物を他の乗客の邪魔にならないように配慮してもらうほか、扉付近に立ち止まらずに座席の前まで移動するよう呼びかけています。
(メ~テレ 山吉健太郎)





