「“5キロ1900円”どこ探してもない」新米が出ても根強い人気の随意契約米 出来がいいことも理由に…新米買いたい業者は激減 「去年の今頃とは“真逆の現象”」

自民党の高市新総裁は「物価高対策」を一番に何とかすると決意を述べていましたが、コメは安くなるのでしょうか?取材しました。
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(大石邦彦アンカーマン 2025年8月)
「今この倉庫にあるのは、備蓄米の中でも競争入札米と随意契約米。銘柄米で言うと新米と古米、お米のカオス状態?」
(ギフライス・恩田喜弘社長)
「そうですね」
岐阜市にある米卸業者の「ギフライス」。倉庫の中はコメが例年になく混在していて、社長の恩田さんは「困ったものだ」と嘆いていました。
改めてギフライスを訪ね、ことしの新米の小売り価格について伺いました。
(恩田社長)
Q.岐阜県産のコシヒカリ5キロでいくら?
「5キロ税抜きで4000円後半くらい」
(大石)
「税込みだと5000円超えてくる」
高温障害に悩まされ…猛暑に強い「高温対策米」導入
ここへきても3000円台は、夢のまた夢の価格。そして、この夏の猛暑の影響が現れていると言います。
(恩田社長)
「量はある程度とれた。暑かったので高温障害で白い部分が多い」
去年に続き、ことしも目立つ岐阜県産のコメの高温障害。
一方で、ことしは猛暑に強い「高温対策米」がより多く導入されたと言います。ことしのコシヒカリの新米と比べると…
(大石)
「(ことしのコシヒカリは)白い部分が多いですね。一方で、高温対策米は白い部分が少ない。一目瞭然ですね」
(恩田社長)
「高温の時には、高温対策米の成果が出ている」
恩田社長はこうした暑さに強い品種の導入は、今後ますます重要になってくると言います。
随意契約米は…5キロ換算1900円
そして、8月に“カオス状態”だった倉庫にきょうもお邪魔しました。
(恩田社長)
Q.これが随意契約米?
「そうですね。10キロ3800円、5キロに換算すると1900円で売っている。どこを探してもそんな安いコメはない」
この随意契約米は当初、8月中には完売する計画でしたが、仕入れが大幅に遅れて先月到着したと言います。
(恩田社長)
Q.年内売れるようになった?
「そうですね、3か月くらい遅れたから」
Q.新米の銘柄米が入っていても?
「単価的に安いものは根強い人気がある」
古いコメだけど…「高温障害が出ていないのできれい」
さらに、備蓄米についてはこんなことも…
(恩田社長)
Q.これは令和何年産ですか?
「令和3年産です」
Q.古いコメだが品質は?
「コメ自体は高温障害が出ていないのできれい」
Q.古いコメの方が品質がいい?
「全国的にきれいなコメがとれた」
備蓄米が安くて出来がいいことも人気上昇の理由で、なんとも皮肉な状況です。加えて、外国産米については?
(大石)
「当初アメリカ産のコメが、備蓄米が入ったことで売れなくなるのではと危惧していたが?」
(恩田社長)
「一時期やはり販売は落ちたんですけど、国産より安いということで業務用を中心に(売れている)」
Q.在庫として残る心配をしていたが?
「逆に追加で買いました」
新米を買いたい業者減少…
最後に驚きのデータを拝見。業界内で出回っている、新米を売りたい業者と買いたい業者の一覧表です。
(恩田社長)
「ここ数年で売り手側のメニューが10ページにもなるのは経験がない」
Q.買い手側のメニューは薄い?
「買い手側のメニューは2ページ。しかも21件しかないので…」
Q.それだけ買いたいと思っている人が少ない?
「少ない。まったく去年の今頃と逆転です」
Q.この逆転現象は、来年度以降に大きな影響を与える?
「経験からいくと、こんなに(値段が)上がって余れば、来年は農協の概算金もある程度下がってきます。そうすると当然、僕らの仕入れ価格も下がるので、来年の令和8年産は末端のコメの価格も下がってくる」
消費者にとって今後、コメが安くなるのはありがたい話ですが、ことし高いコメを仕入れざるを得なかった業者は赤字になる可能性もあり、この先も不安が付き纏います。