
10月から土日の部活動が原則廃止に 受け皿は企業が運営する“有料の地域クラブ” 「あだ名禁止」「体型の話NG」など指導者には多くのルールも 名古屋市

名古屋市の中学校の部活動が大きな転換点を迎えています。10月から土日の部活動が原則廃止され、その受け皿として民間企業による地域クラブが始動。新たな制度の現場を取材しました。
名古屋市の中学校で土日の部活動“廃止”に 有料の地域クラブが始動

10月4日土曜日、名古屋市中川区の中学校で行われたバレーボールの練習。部活動ではなく、この日から始まった新たなクラブ活動です。いろいろな中学校に通う生徒が集まりました。
参加した生徒たちは「みんな優しくていろいろ教えてくれて、いい雰囲気だなと思いました」「サッカー部なんですけど、バレーが好きでやってみたいなと思って」と、部活動とは違った雰囲気を楽しんでいました。
名古屋市立の中学校では、10月から教員が指導にあたる土日の部活動が大会などを除いて完全廃止に。代わりに地域クラブの活動が始まったのです。

教育委員会からの募集で、地元の企業が地域クラブを運営。このクラブでは、指導者に対して多くの決まり事が設けられていて、事前に研修します。
指導者の研修をする社員:
「試合をやるチーム作りというより、子どもたち全体の輪を作るチーム作りをイメージしながらやっていただくのがすごく大事。『負けたからダメだ』『勝ったからいい』ということを子どもたちに言わないように」
このクラブで教えるバレーボールの月謝は5500円。週1回、1時間半の練習があります。
指導者の研修をする社員:
「(部活は)無料で通えたんですよね。私たちは企業として月謝をいただいてやる形になりますので、子どもたちが通ってくれることに対して、しっかりとしたサービスを提供しないと」

この日、バレーボールの指導をしていたのは、平日は会社員として働いている鈴木笑佳さん(23)。バレーボール歴は11年ですが、中学生を指導するのは初めてだといいます。
普段より注意が必要だったというのが指導中の体の接触。生徒を盛り上げながら、コンプライアンスとのバランスを模索していました。
鈴木笑佳さん(23):
「もうめちゃめちゃハイタッチとかしたかったんですけど、接触を控えながら」
中学生を指導する難しさを感じつつも、スポーツを通して得たものを子どもたちにも伝えたいと、練習中も「ちょっと足開くといいよ」「もう一回見せて」「いいね」と、生徒たちに明るく声をかけます。

心がけたのは、とにかく明るく、自分も楽しみながら指導すること。
その気持ちが伝わったのか、バレーボール経験者の生徒からも「青い服を着た先生、めっちゃうまいと思います」「僕、アンダーハンドパスのやり方を教えてもらいました」という声が上がり、評判もよさそうです。
地域クラブを運営するリーフラス株式会社 坂本千穂さん:
「種目に応じての経験値が普通の部活の顧問の先生とは違う。外部の指導者とのコミュニケーションや、いろんな地区から来るっていうのがメリットかなと思っているので、より自分の良さや相手の良さを見つけられるように成長してほしい」
指導者には多くのルールも 地域クラブそれぞれの判断

土日の部活動がなくなったことで教員の負担は減りそうですが、企業が運営するクラブ活動になったことで、生徒や保護者の中には不安を感じる人も。
こうした不安を軽減するため、今回取材したクラブを運営する会社の研修資料には、「路上駐車をしていないか」「清潔感のある容姿を心がけているか」など、54個ものチェック項目が書かれていました。
コンプライアンスに関わる方針としては、「生徒と連絡先の交換は禁止」「あだ名禁止」「生徒を呼ぶときは○○さんという形で呼ぶ」「“背が低い” “体格がいい”など、体型などの話は禁止」という項目も。
さらに、フォームをチェックしたいといった理由であっても「写真・動画の撮影禁止」としています。
細かいルールがあり、指導する側は大変な部分もありそうですが、人気予備校講師であり3人の父親でもある村瀬哲史さんは…
村瀬哲史さん:
「学校以外のところでやるものなので、コンプライアンス的なものをしっかりしておくことが、後々のトラブルを抑制することにもなる。そこはしっかりと軸を作ってほしいですね」
名古屋市内では現在、スポーツだけでなく文化系も含め120以上のクラブが生徒を募集しています。