
30年以内に発生率80%程度とされる「南海トラフ巨大地震」 臨時情報のガイドライン改訂でどう変わる?イベントなどは「継続が望ましい」

1年前の8月8日、日向灘を震源とする地震を受けて初めて発表された「南海トラフ地震臨時情報」。
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南海トラフ巨大地震は、30年以内に80%程度の確率で起きるとされ、想定される死者は最大で29万8000人に。
巨大地震の可能性が平時より高まったと判断されたときに発表される臨時情報は、切迫度に応じて「巨大地震警戒」と「巨大地震注意」に分かれます。
去年発表された「巨大地震注意」は普段通りの生活を送りつつ、備蓄品や避難ルートの再確認を呼びかけるものですが、実際にどう過ごしたか、名古屋の街で聞いてみると…
(40代女性)
「お盆に旅行に行く予定だったが、臨時情報が出てキャンセルしたのを覚えている」
Q.行くか行かないか迷った?
「迷った」
どう行動したらよいのか迷った人も。海水浴場も営業を継続した所と閉鎖した所など対応はまちまちでした。
そんな中、内閣府は8月7日、南海トラフにかかる防災対応のガイドラインを改訂しました。
ガイドライン改訂で何がどう変わる?
目指しているのは、安全と社会活動の両立。臨時情報が発表された場合、イベントなどについては「適切な防災対応を実施したうえで、できる限り継続することが望ましい」と明記しました。
去年、臨時情報の発表を受けて一時、海水浴場を閉鎖した三重県南部・紀北町では。
(古里観光協会 垣内丈晴副会長)
「本当に混乱した」
去年は対応が分からず念のため閉鎖したといい、目安ができたことを前向きに受け止めています。
(古里観光協会 垣内副会長)
「ある程度、自分たちが判断できる形がとれるとありがたい。商売もしながらできる」
一方、三重県熊野市で準備が進む恒例の花火大会の関係者には戸惑いが。
大輪の花火が海を照らす熊野大花火大会。去年は臨時情報の呼びかけ終了直後のため、避難経路の標識を新たに設置したうえ、避難場所を示した地図を初めて配布するなどの対策をとって開催しました。
新しいガイドラインでは「継続が望ましい」としたものの、個別具体的な防災対応が記されているわけではありません。
(熊野大花火大会 実行委員長・中平孝之さん)
「役人的なことだと思う。自分たちの責任逃れで作ったものにすぎない。運営側の気持ちをもう少し考えてほしい」
「買いだめや買い急ぎを控えるようアナウンス」
今回の改訂では、スーパーなどの商業施設についても指針が示されました。去年8月、愛知県小牧市のスーパーを取材した際は、トイレットペーパーやペットボトルの水がよく売れていました。
(ビッグリブ小牧店・岩田亮一店長)
「瞬間的には水がなくなった。ですが、次の日には(商品が)入るようになる。日々日々商品は追加していく感じ」
この店は、臨時情報が再び出ても対応できるよう今も、水の在庫を2倍に増やしています。
改定では巨大地震注意が発表された場合に、自治体や企業が取るべき対応を大幅に拡充。「買いだめや買い急ぎを控えるようアナウンスする」と示されていますが…
(ビッグリブ小牧店・岩田店長)
「なかなかイメージ的に『買わないでください』はむずかしい。不安をあおるようなことにもなりかねない」
また、鉄道は原則「巨大地震注意」では、運行規制はせず平常通りとしました。
JR東海は去年、東海道新幹線を一部区間で減速したり、在来線の特急を一部運休しましたが、今後は日向灘を震源とする地震による臨時情報の場合に限り、運行規制は行わないと基本方針を変更しました。
内閣府は「ガイドラインは対応が分からない場合に指針とするもので、個別の事情に応じてどのような対応をするか事前に考えて欲しい」と呼びかけています。