“わけありイチジク”を救え! 老舗和菓子店が立ち上がる 生産量全国2位の愛知、2~3割が「規格外」に

今が旬のイチジクですが、2割以上が「規格外」になってしまうそうです。窮地を救うため、地元の和菓子店が立ち上がりました。
愛知県豊橋市にある畑で育てているのは、イチジクです。
8月頭から11月末まで、約5万個のイチジクを栽培しています。
愛知県はイチジクの生産が盛んで、生産量は和歌山県に次いで全国2位。しかし、毎年ある悩みを抱えています。
「例えば虫に食われたのはダメ。大割れなど熟しすぎたやつも規格外」(イチジク農家 早川誠治さん)
イチジクはやわらかいことから、ほかの果物と比べても繊細。そのため衝撃などに弱く、規格外になるものが例年2割から3割ほど出てしまうといいます。
さらに今年は梅雨時の雨が少なく、猛暑の影響もあり、例年より小ぶりになっているといいます。
「イチジクの葉の裏がざらざらしていて、イチジクをとった時にそこで傷がつく。いいものだけど傷がついたら規格外になり、今までは処分品という形だった」(早川さん)
規格外と言っても、おいしく食べられるものも。
そこで4年前から農協などと協力し、「加工用」という新たな規格を設置。和菓子店で提供することになりました。
創業75年を誇る豊橋市の和菓子店「お亀堂」。出荷当日に豊橋市内の青果店でカットされた加工用イチジクを使い、ガレットやかき氷を販売しています。
旬の果物を使ったお菓子は、店の人気商品だといいます。
「もったいないということで、今回それを使用して、お菓子を作らせていただきました。ちょっとした傷でも規格外になってしまうので、それをおいしく生まれ変わらせることでみんなが幸せになってくれたらいいなと思っています」(お亀堂 森貴比古 社長)
さらに現在、新商品の販売に向け試作しているものがあるといいます。
それがイチジクを1個半使ったゼリー。2026年5月からの販売を目指します。
「水分量が多い果物というのは、すぐに風味が抜けたりするけれど、イチジクはしっかりと風味が残る。ちょっとした傷ですぐ規格外になってしまうけれど、味は全く問題ないので、素材本来のおいしさをしっかりと伝えていきたい」(森社長)
処分されていたものが出荷できるようになったことについて、農家の早川さんは―。
「農家にとっては助かっています。今まで処分していたのが出荷できるとなるとうれしいです」
地域ブランドのアップにも

この取り組みについて、食品ロスに詳しい小林富雄・日本女子大学教授は、地域のつながりがあるところを評価しています。
出荷後すぐに加工できることから鮮度を維持することができて、輸送コストもかからない。
「品質(鮮度)」「価格(輸送コスト)」のバランスが取れていて、さらに地域ブランドのアップにもつながるのではと話しています。