増加する「◯◯ペイ詐欺」 スマホのミラーリング機能を悪用 背景に闇バイトの犯罪者グループ
決済画面が知らぬ間に抜き取られ、身に覚えのない買い物に使われる犯罪が増加しています。
12日、愛知県の豊田警察署で感謝状を受け取った三菱UFJ銀行豊田南支店の銀行員。詐欺被害を未然に防ぎました。
10月30日、50代の男性客が銀行で「口座に100万円以上を振り込みたい」と言いスマートフォンを見せてきました。
Q.詐欺の被害に気付かれたとき、どのような業務にあたっていた?
「ロビー案内をしていた。(スマホに)YouTubeという言葉とスクリーンショットをすぐ送ってほしいと見えて、これはちょっとおかしいかなと思いまして」(三菱UFJ銀行豊田南支店 原田晴美さん)
画面には「YouTube、スクリーンショットを送って」の文字。
男性は「動画サイトで動画を見た後、視聴したことが分かるスクリーンショットを送るだけで稼げる」という副業に応募していました。
稼いだとされる現金を引き出そうとしたにも関わらず、いつの間にか現金を振り込むよう指示され、100万円以上を送金しようとしていたといいます。
詐欺だと見抜いた銀行員が男性を説得し、被害を未然に防ぐことができました。
Q.詐欺と思われることに対応するのは増えた?
「毎日のように相談や『こういったメールが来たがこれは銀行からのメールなのか』という問い合わせが日に日に多く来ている」(三菱UFJ銀行豊田南支店 山下佐知子さん)
金を受け取るはずがいつのまにか現金を振り込むように
同様のケースは、三重県松阪市でも。
30代の女性はTikTok上で「動画を見たら150円」などと書かれた広告をきっかけに、女を名乗る人物と知り合い、LINEでメッセージのやり取りをするようになりました。
女を名乗る人物からは、YouTubeの動画を視聴するたびにスクリーンショットを送るよう指示されたといいます。
女から紹介された別のサイトでは、動画視聴に伴って報酬が支払われたかのように表示されていました。
金を受け取るはずが言葉巧みに現金を振り込むように指示され、あわせて約150万円をだまし取られたといいます。
キャッシュレス決済が悪用する詐欺
愛知県警のサイバー事案の対策アドバイザーを務める専門家は「新たな手口」も出てきたと指摘します。
「偽のショッピングサイトが入り口になっていて、そこで買い物をすることが発端になる。そこで『実は在庫がないので返金したい』ということをそのショッピングサイトの運営側から申し出があるとLINEに移動されて、LINEでその電子商取引用のQRコードを見せてくださいと誘導される。それで出してしまうと被害に繋がるというような手口になります」(NTTデータグループ 新井悠さん)
それが「〇〇ペイ」などのキャッシュレス決済が悪用される詐欺です。
ミラーリング機能を悪用した手口とは
どのように他人に共有されてしまうのでしょうか。
LINEの通話画面を開き、画面シェアの機能で画面を共有。
そうすることで被害者のスマホ画面が犯人側のスマホ画面に映し出されてしまうことに。
さらに犯罪者側から指定された通りに、支払いの画面を開きます。
すると、決済ができるQRコードが犯罪者側の画面にも映し出されることになるんです。
この画面を、決済端末で読み取ると、決済ができてしまう。
LINEのミラーリング機能を悪用した手口です。
キャッシュレス決済は、その利便性から普及しています。
QRコードなどを使う巧妙な詐欺が相次ぐ
一方で、決済に使われるQRコードやバーコードをめぐって巧妙な詐欺が相次いでいます。
国民生活センターによりますと、こうした返金詐欺は近年増加傾向にあり、被害相談は、去年4月から今年7月までに約24倍増えていることがわかります。
専門家の新井さんによると、闇バイトで集まった犯罪者グループの増加が、被害が増えた要因だということです。
こうしたミラーリング機能を悪用した◯◯ペイ詐欺で逮捕者も。
詐欺の疑いで逮捕されたのは、黒田裕香容疑者(31)と小浦優容疑者(32)の2人です。
2人は子どもが同じ保育園に通う「ママ友」でした。
警察によりますと、2人は、大阪市内の店舗で共犯者と共に、ミラーリング機能を悪用してスクリーンショットされた他人のバーコード決済画面を使って約40万円のタブレット端末を購入した疑いがもたれています。
LINEに誘導される手口は気づくポイントに
このような事件が相次ぐ中、電子決済サービスの会社は、犯罪を防ぐ対策に乗り出しています。
「スクリーンショットができなというアプリ側の手段や不正な送金、これは明らかに、身近な人と取引してるのに、全然違う人と取引しているような、そういう異常を検知して送金を止める仕組みもある」(新井悠さん)
私たちが犯罪に巻き込まれないためにはどうしたらいいのでしょうか。
「1つ大きなポイントは、(ショッピングサイトの)“激安”みたいなものにすぐ飛びつかないこと。それから2つ目は、LINEに誘導されるっていうのはかなり共通される手口なので、その瞬間に『これはちょっとおかしいぞ』とLINEで返金をしたいというところはおかしいと気づくポイントになりますので、そういったところに誘われたら警察に相談するなど行動につなげてほしい」(新井悠さん)