
自ら高知で仕入れて名古屋へ…本山駅近くにオープンした“土佐料理店” 本場の味を届ける店主夫婦の流儀


名古屋市千種区に、高知の本場の味を届ける土佐料理店「TOSAYA(とさや)」があります。名物のカツオのたたきをはじめ、店主が自ら高知へ足を運び、旬の食材を仕入れています。夫婦の温かな人柄と本場の味わいが、地元の人々を惹きつけています。
■高知の味を名古屋で…土佐料理が楽しめる店
名古屋市千種区・地下鉄「本山駅」から歩いて10分の「TOSAYA」は、高知から仕入れた鰹節や柚子といった加工品を販売するお店ですが、2025年8月に店を改装して土佐料理の提供も始めました。店主の野本玲治(れいじ)さんと、高知出身の妻・和歌さんで切り盛りしています。 和歌さん: 「おいしいたたきをしっちゅう。たまにお店にいる時は、土佐弁でしゃべりゆうがですよ」

看板メニューは、「かつおわら焼きたたき」(1650円)です。 玲治さん: 「これが本場のわら焼きのカツオのたたき。わら焼きというのは、表面が真っ黒になる。いい香りが付いています」 新鮮なカツオをわらの強火で豪快に焼き上げる高知の伝統的な調理法。皮は香ばしく、旨みがしっかり閉じ込められています。中は半生で、噛むほどにカツオの濃厚な旨みが広がり、わら焼きのスモーキーさが心地よく残ります。

客: 「私は塩で。他では食べられない高知の味。おいしい」 塩もいいですが、特製の柚子ダレでも。爽やかな味わいが、カツオの旨味を引き立てます。 別の客: 「もっとクセがあるかなと思ったら上品な味、最高」

ほかにも、柚子のお酢で漬け込んだ「りゅうきゅうの酢の物」(495円)など土佐料理が揃います。「りゅうきゅう」とは、ハスイモの葉と茎がつながる部分で、独特の食感が特徴です。

客: 「シャキシャキ。食べたことない感じ」 高知出身の和歌さん: 「子供の頃からめちゃめちゃよく食べていました」 別の客: 「行ったことのない県の食べ物を食べる機会がないから、ちょっとした旅行気分」

ほかにも、高知では欠かせない春の山菜・イタドリを油でさっと炒めた「イタドリきんぴら」(495円)や、高知でも知る人ぞ知る希少な深海魚「ハダカイワシ丸干し」(440円)。脂がのって、濃厚な旨味が楽しめます。

酢や味噌などで作る土佐の調味料・ぬたを使った「ブリぬた」(770円)もあります。
■本場の味を届けたい…店主自ら高知へ
土佐料理の食材は、店主が自ら高知へ足を運んで仕入れています。 玲治さん: 「自分の目で見て旬を感じて、その時のいいものを店で出せたら」 名古屋を出発して約6時間、高知市に到着。まずは、市内で最大規模を誇る産直市場へ向かいます。

玲治さん: 「りゅうきゅう。高知に来ないと、こんないいものはないですね。本当に立派」 そして、高知の山菜・イタドリは、塩漬けしたものが冷凍で売られています。太平洋に面し、豊かな漁場に恵まれた高知では、様々な魚が水揚げされます。名古屋では手に入りづらいウツボも購入します。

玲治さん: 「ウツボは昔から食べる文化があって、かなり重宝されています。皮はプリっとしていて、身は淡白ですけど旨みもある。名古屋では買えません」

高知の定番「ウツボのから揚げ」(1650円)。生のウツボは、塩コショウして片栗粉をまぶして油で揚げます。玲治さんは、現地で巡り合った人たちから味付けや調理方法を教えてもらい、本場の味を再現しています。上質な鶏肉にも似た淡白な味でとろけるような食感がクセになる一品です。

2日間で約10軒の店を巡り、高知ならではの食材を仕入れます。

また、地域密着型の酒販店では、高知で人気のある貴重な日本酒も手に入れました。
■釣りがつないだ“高知との出会い”
愛知県安城市出身の玲治さんがなぜ土佐料理の店を開いたのでしょうか。 玲治さん: 「釣りが好きで、高知に来たのがきっかけ。感動するレベルのおいしいものが多くて、今度は釣りプラスおいしいものを食べにくる楽しみができた」

大の釣り好きの玲治さん。大物が狙える高知に通っているうちに、現地の食材や料理にもほれ込みました。中でも、わらで焼くカツオには、衝撃を受けたといいます。 玲治さん: 「わらの火力がすごく強いのと、油分が出るので燻されてすごく良い香りが付く。カツオ自体もおいしいので、それをさらに焼いてもっとおいしくしている」

玲治さんは、その味に感動した高知名物・わら焼きカツオのたたきをもっと多くの人に知ってもらいたいと、名古屋に土佐料理の店を構えました。評判を聞き、高知出身の客もやってきます。 高知出身の客: 「懐かしい味だし、やっぱり高知の味がいい」 高知で仕入れた「司牡丹 日土人(ひとびと)」(935円)など自慢の地酒も揃います。

名古屋で味わう高知の味。香ばしいわらの香りと、夫婦の笑顔。そのぬくもりが、今日も名古屋の食卓を優しく包んでいます。 2025年10月2日放送