
まさか自分が…増え続ける危険な自転車事故の盲点 “死を招く”衝撃的な事故から命守るヘルメット SNSや動画…ながらスマホも急増

電動アシストなどの普及で今増えている自転車。しかしその自転車が原因の事故も増えています。実態を取材しました。
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これはドライブレコーダーが捉えた映像。街中を走る1台の乗用車。
交差点を左折しようとした瞬間…
(運転手)「あぶない。あーやっぱり、危ないと思ったんだよな」
横断歩道を渡ろうとした自転車がはねられました。乗用車側の確認不足。
ヘルメットをかぶっていませんでしたが、軽いけがで済みました。
普及台数は約6870万台と、いまや国民の2人に1台以上ある「自転車」。楽に移動ができて、特にここ数年は電動アシストの普及や健康ブームを背景に街中を走る姿が目立っています。
危ない!「対人」と「車両単独」の事故が増加傾向
こうした中で問題になっているのが交通事故。ながらスマホや…傘をさして運転する人。危ない自転車も少なくありません。
(主婦は)
「タイヤが太くて大きい自転車が歩道を走っているのを見て、結構スピードが速くて歩行者的にはヒヤッとして怖かった」
「信号のない交差点で車が出てきて、ふらついて転びそうになったことが何回もある」
事故全体は減少傾向ですが、そのなかで目立って増えているのが「対人」と「車両単独」の事故。それぞれ1.2倍、2.4倍となっています。つまり「自転車の乗り方」が原因の事故が増えているのです。
その衝撃はどれほどなのか。JAFによる衝突実験です。親子3人と男性1人のダミー人形。頭部には衝撃を測定するセンサーが組み込まれています。
ヘルメットの有無…事故実験の結果は?
まずはヘルメットを装着して実験開始。時速20キロに加速すると…
後ろの子どもダミーが左右に大きく振られ、頭が激しく地面に打ち付けられます。センサーの数値(HIC)は、母親が「243」、後ろの子どもは「900」を超えました。数値が“1000”を超えると、脳障害を起こす危険があると言います。
●HIC…頭部への衝撃を表す数値。
そしてヘルメットが無い場合だと…
(JAF 広報担当 吉田英治さん)「後ろの子どもはヘルメットがないと(HICは)『15000』という大きな数字になった。即死状態ですね」
警察の調べでは、去年自転車に乗っていて事故で亡くなったのは327人。死因の半数は、頭部のケガでした。ヘルメットの着用はこの2年で4倍以上に増えましたが、それでも17%程度と低いままです。
更にこんな危ない乗り方も。
(JAF 愛知支部 吉田英治さん)「傘が必要になる人が自転車に差し込んで、車輪に(傘を)巻き込んで、突然急ブレーキがかかり横転する」
前輪付近にむりやり取り付けた傘が車輪に巻き込まれ、転倒する事故。過去6年で33件起きていて、重傷者も出ています。
そして最近急増しているのが…
手軽で便利な“自転車” 事故の危険性も念頭に
(記者)「あちらの男性、スマホを触りながら片手で運転してます。危険です」
この「ながらスマホ」。
この4年の死亡・重傷事故は114件。半数以上が19歳以下の若年層で、ほとんどがSNSや動画を見ている際の事故でした。その実験映像がこちら。
ブレーキなしで障害物に激突し、体が激しく地面に打ち付けられました。
自転車の乗り方が原因の事故。それは整備不良でも起きています。
車輪の付け外しができるスポーツ車両で、取り付けがあまいと…前輪を持ち上げようとすると車輪が外れ、体が投げ出されます。
最近増えている幼児向けのペダルなし自転車・キックバイクの事故も。
これがその再現実験。
約10度の坂道で10メートル進むと、すぐに時速16キロに達し柵に激しく衝突しました。国民生活センターによりますと、キックバイクの事故はこの5年で100件以上にのぼり、去年は死亡事故も起きていました。
電動アシストや軽量化などで、レジャーやファッションとしても街に増え続けている自転車。しかしその手軽さが事故の危険と隣り合わせであることを忘れてはなりません。