人気上昇中「ガールズケイリン」目指す高校3年生に密着 合格率35%、難関のプロ養成所試験に挑む

オリンピック種目でもある「ケイリン」。年々人気が高まってきている女子選手による「ガールズケイリン」の舞台に立とうと奮闘する高校生に密着しました。
コンピューターで製図を学ぶ高校生。
Q.こういうのは得意?
「いや、全然得意じゃないです(笑)」
ひとたび自転車に乗れば…最高時速は約60km/h。
一心不乱にペダルを漕ぐのは、岐阜・岐南工業高校自転車競技部3年、小澤かすみ選手です。
「練習したら、しただけスピードが上がったり、タイムが目に見えるところが魅力的だなと思います」(小澤選手)
6種類ある高校女子のトラックレースで、小澤選手が最も得意とするのは「ケイリン」。
複数の選手が同時にスタートし、決められた周回で着順を競うレースです。
今年春に行われた高校2大タイトルの1つ、選抜大会。
レースを先導するペーサーが外れると、一気に先頭へ。積極的に前へ出る強気の走りを見せ、3位。全国大会初の表彰台に乗りました。
「将来は競輪選手として頑張っていきたいと思っています」(小澤選手)
父の勧めでソフトボールから自転車競技へ

元々ソフトボールの選手だった小澤選手。
強豪校から誘いが来るほどの実力の持ち主でしたが、中学3年の夏、父から勧められて自転車競技と出会います。
「競技用自転車にはブレーキがついていないので、怖さが一番大きかったです」(小澤選手)
半信半疑で始めた自転車。しかし、続ける中で次第にその魅力にひかれていきました。
高校では高いレベルで競技に取り組みたいと、愛知県江南市に住みながら特例で全国屈指の名門・岐南工業に進学。
平日は学校近くの長良川の河川敷で練習。約1時間、休まず走り続けます。
「最初は全然先輩についていけなくて、続けられるか心配だった。練習を続けるうちに速くなっていくのが楽しくて、続けられています」(小澤選手)
脚力アップのための筋力トレーニングも欠かしません。
お昼の休憩時間でも、話題となるのは――。
「ずっとケイリンの話を聞かされます。ずっとですよ」(クラスメート)
「ずっとなんかしてないし!」(小澤選手)
ちなみに、好きな食べ物は――。
「お肉です」(小澤選手)
生で初めて見た「ガールズケイリン」に…

プロを目指すきっかけは、女子選手で行われる「ガールズケイリン」を目の当たりにしたこと。
「岐阜で開催された『オールガールズクラシック』を見に行って、生で初めて見て『ここで私も走りたい』と思って」(小澤選手)
ガールズケイリンは華やかさに加え、主婦やモデル、看護師などから転身した選手もいることが話題となり、人気上昇中。
2012年の開始以降、選手の数も年々増加し、今では200人を超える選手が参戦しています。
その舞台に立つために欠かせないのが、「日本競輪選手養成所」への入所。
プロ選手になるための知識や走行技術などを、約10カ月間かけて学ぶ登竜門です。
去年の合格率は35%。 狭き門の突破を目指す試験が来週に迫っています。
「一発で合格したいという気持ちは強いです」(小澤選手)
プロ選手から直接指導も

ある休日。
「今日は部活ではなく、名古屋競輪場のプロ育成の方で練習します」(小澤選手)
名古屋競輪場で開催されている「名古屋サイクルクラブ」。小澤選手はこの夏から、プロ育成コースに通っています。
「スタートのかけ方やフォームを改善して、タイムが出るようになりました」(小澤選手)
指導するプロ選手にも、その才能を認められています。
「スポーツをやっていると体幹が大事とよく言う。そこが小澤選手はしっかりしている。力の伝え方がうまい。速く走れるようになると思うので頼もしいです」(小澤選手を指導する 疋田敏選手)
試験を前に大きな不安が

順調に思える試験への道のり。10月8日の第1次試験を前に、大きな不安がありました。
「今までにないぐらい肩が痛くて、次の日は全然上がらない」(小澤選手)
実は6月の大会で転倒し、左の鎖骨を骨折したといいます。
Q.試験までに治る?
「治らないと思う」(小澤選手)
Q.けがと付き合いながら試験に臨む?
「はい」(小澤選手)
試験まではあとわずか

入所試験の合否は、助走をつけてからの200mと、静止状態からの500mのタイムで決まります。
ケガが癒えぬ中、名古屋競輪場で行われた試験前最後の記録会。
本番さながらに、200mと500mのタイムを測定します。自分の現在地を知る絶好の機会です。
まずは200m。記録は13秒11で、去年の合格者の平均13秒21を上回るタイム。
続く500m。こちらは39秒76で、去年の合格者の平均39秒09に届きませんでした。
「思ったよりタイムが出なくて、ちょっと焦っています。スタートの見直しやフォームのチェックをしていきたい」(小澤選手)
それでもケガの影響は少なくなってきていると語った小澤選手。
試験まであとわずか。プロの門をたたくその日まで、あきらめるつもりはありません。
「試験は合格できるようにしたい。合格してからもタイムを上げていきたい」(小澤選手)
(2025年10月2日放送 メ~テレ『ドデスカ+』「じもスポ!」コーナーより)