
ゼロパンダ時代突入へ「パンダ誘致」の外交カードを切る前に、拘束されている日本人の救出を

和歌山県のアドベンチャーワールドで大人気の、パンダ。日本最多の4頭が飼育され、観光の目玉となってきたが、中国からのレンタル期間が終わり、2025年6月26日をもって日本から姿を消す。上野動物園には現在も2頭のパンダが飼育されているが、実はこちらも2026年2月にレンタル期間を終えるため、日本にいるパンダは「ゼロ」となる予定で、「ゼロパンダ時代」に突入する。
自民党の森山幹事長「パンダを貸して…」

自民党の森山幹事長は2025年4月、パンダのレンタルを中国に要請。中国側は「希望を重視している」とのことだが、そこにどんなメッセージが込められているのか。パンダ外交に詳しい専門家、東京女子大の家永真幸教授に話を聞いた。
東京女子大 家永真幸教授:
「(トランプ関税を巡る)米中対立の中で、日本を(パンダで)取り込みたいという思惑は中国の外交政策全体の中にはある。中国に対して友好的な政策を取ってくれる相手であれば、パンダを送り出すし、そうでなければ送り出さない」
「センセン」と「カクカク」石原元東京都知事はパンダ外交に強烈皮肉

2012年、上野動物園の雌のジャイアントパンダ「シンシン」に妊娠の兆しがあることに関し、尖閣諸島の土地を購入をしようとしていた当時の石原慎太郎東京都知事は、「名前をセンセンとカクカクと名付けてやったらいい」と述べて皮肉ったこともあった。
中国が日本を取り込むための「外交カード」としてたびたび利用されるパンダだが、その効果は疑問視されている。内閣府の調査では、日本と中国の関係について、「良好だ」と答えた人は1986年には76.1パーセントいたが、2024年には8.8パーセントまで激減してしまった。(2020年から調査方法が一部変更)

6月26日に放送されたテレビ愛知の「激論コロシアム」に出演したキヤノングローバル戦略研究所の峯村健司さんは、パンダ1頭の年間のレンタル料金は100万ドル、今のレートで換算して、1億5000万円とコストが高いことを明らかにした。
その上で、自民党の森山幹事長がパンダ誘致の外交カードを簡単に1枚切ったことの問題を指摘。「パンダよりも、まずは拘束されている日本人を解放すべきでは」と訴えた。
日本人に人気がある「パンダ」 高額なレンタル費用を中国に払ってでも、パンダ誘致を続けるべきか、やめるべきか、そろそろ議論をする必要があるのではないだろうか。