
“マッチョ”が人手不足を救う⁉ ボディビルの大会成績に応じてボーナスも?介護士やドライバーなどの業界で広がる“マッチョ採用枠”

いま介護士やドライバーなど、人手不足といわれる業界で筋肉自慢の“マッチョ”を採用する企業が増えています。
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愛知県一宮市にある障害者福祉施設「生活介護atto」。ここで、介護士として働く立見北斗さん27歳。
去年、介護士として働きはじめた立見さん。それまでは7年間、海上自衛官でした。なぜ介護士に転職したかというと…
(介護士 立見北斗さん)
「自分が好きでやっていた筋トレが、社会貢献につながるのは素晴らしいと思った」
立見さんは、アマチュアのボディビルコンテストの全国大会で優勝経験もあります。
(立見さん)
「マッチョにとって素晴らしい環境が整っている。思い切って転職して“マッチョ介護士”になった」
30人程度だった介護士→現在は約300人に
「マッチョ介護士」とは、この施設を運営する会社「ビジョナリー」が8年前から採用枠の1つとして設けたもの。
(ビジョナリー 丹羽悠介社長)
「シンプルに人手不足で困っていた」
厚生労働省の調査によると、高齢化の影響で介護士の数は2040年度、現在より約60万人多い272万人が必要になる見込みです。需要に対する深刻な介護士不足が問題となっています。
(丹羽社長)
「マッチョ介護が始まる前は求人を出しても応募すらない、問い合わせすらなかった」
こうした中、社長が絞りだした秘策が…介護士の「マッチョ採用枠」。
(丹羽社長)
「福祉に興味ない人に触れてもらうきっかけをどうしようと考えたときに、介護福祉の面白さや、やりがいをうたうより、とにかく会社を目立たせることをやろうと」
今では、運営する全国28の事業所で、あわせて30人ほどのマッチョが介護士として働いています。
この「マッチョ採用枠」が話題を呼び、筋肉自慢以外からの応募も増加!採用枠を設ける前まで30人程度しかいなかった介護士は、現在約300人に増えました!
1日2時間のトレーニングが勤務時間に⁉
(丹羽社長)
「100%マッチョ介護のおかげ。介護はちょっと飽きやすい仕事。コツコツ小さな変化を喜んで生活をサポートする仕事。マッチョは毎日同じ食事をして、毎日コツコツ筋トレをして、飽きることに耐性があるので、すごく介護の仕事には合っている」
もちろん、マッチョ介護士の評判も上々です!
(利用者)
「かっこいい。運動はあんまりだったけどいいなと思った」
一通り介護士としての勤務を終えた立見さんが、仕事終わりに向かった先は…もちろんジム。
(立見さん)
「今は仕事中です」
なんと「ビジョナリー」では人事や社長との面談、ボディビルの大会成績など一定の条件をクリアすれば、1日のうち2時間のトレーニングが勤務時間に含まれるんです。さらに、大会の成績に応じてボーナスも支給されます。
(立見さん)
Q.この制度はうれしい?
「最高です」
ビジョナリーは、今後“マッチョ介護士”を海外にも広めていきたいと、さらなる事業の拡大を目指しています。
“筋トレ採用”でジム費用が無料に
ところ変わって、こちらは愛知県飛島村に本社を置く「名正運輸」。ドライバーとして勤務する平田大輔さんは“マッチョドライバー”。
(名正運輸 ドライバー 平田大輔さん)
「(給料を)頂いた上でサポートがあるのでかなりいい」
名正運輸では、約10年前から“筋トレ採用”と題した新たな採用枠を設けました。入社した場合、提携するトレーニングジムの費用が無料になるなど、マッチョたちには嬉しい環境がそろっています。
(平田さん)
「元々は新潟に住んでいて、ジムから5分の所に引っ越してきた」
5年間で20代ドライバーの割合が3倍以上に増加
なぜ“筋トレ採用”を始めたのでしょうか。
(名正運輸 管理部マネージャ ー加藤和樹さん)
「求人を1回出しても、例えば2か月で1人採用できるかできないか」
筋トレ採用枠を設置してから、若い年齢層のドライバーが増加。ここ5年間で20代のドライバーの割合が3倍以上に増えました。そのワケは、ドライバーの働き方にも。
(加藤さん)
「トレーニングはこの時間帯から行けると、計算ができるのがドライバーのいいところ」
平田さんの場合、通常朝5時から勤務を開始し、午後3時には仕事を終えるため、ほぼ毎日筋トレの時間が確保されるといいます。ボディビルとドライバーの2足のわらじを履く平田さん。なんと、週6でジムに通っているそう。
(加藤さん)
「僕らの物流サービスは人無しでは成り立たない業界・業種なので、ドライバー中心に人数を増やして、やれる仕事を増やしていくのが会社の大きな方向性」
需要はあるのに、働き手がいない…そんな人手不足の業界を救うのは、“マッチョ”たちかもしれません。