
ラッコの24時間ライブ配信 “カスハラ”で飼育員にモザイク処理… 専門家は「正当なクレームでもカスハラになる場合が」 カスハラどう防ぐ?

三重県の鳥羽水族館が、10月15日から“カスハラ”を防止するための対策を始めました。
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鳥羽水族館は、2024年4月から2頭のラッコの様子を24時間ライブ配信していますが、10月15日から1日に3回実施しているラッコへの餌やりの際に、映り込む飼育員の様子にモザイク処理をしています。
鳥羽水族館によりますと、一部の従業員に対し“カスタマーハラスメント”と捉えられる、不適切な言動や問い合わせがあることなどから、従業員のプライバシーを守る目的で、配信方法を変更することにしたということです。
鳥羽水族館は「今後も配信を通じて、ラッコたちの姿を届ける方針は変わらない」としています。
鳥羽水族館の、今回のカスハラ対策見ていきましょう。
10月15日から、餌やりタイムに飼育員をモザイク処理しています。白いステージ部分にモザイクをかけ、処理後は飼育員が誰かわからない状態にしているということなんです。
実際にどういったカスタマーハラスメントがあったのか。具体的に何があったかは明らかになっていないですが、鳥羽水族館は飼育員を守るために、このような対応をしています。
「実名公表を盛り込む条例」も…
では、“カスハラ”とは何なのか。
内閣府によると、カスタマーハラスメントとは、顧客などからの暴行・脅迫・ひどい暴言・不当な要求などの著しい迷惑行為を指します。具体的には「威圧的な言動」「身体的な攻撃」「土下座の要求」「金銭補償の要求」などがあります。
そんな中、三重県桑名市では、2025年4月から「実名公表を盛り込む条例」をスタートさせています。客から迷惑行為を従業員が受けたら、従業員が桑名市役所に相談。その際の聴取は、加害者から聴き取りをします。聴取の結果、カスハラだと断定・認定すると、加害者に警告。改善されない場合、実名公表という流れになっているんです。
さらに三重県では、もう一歩踏み込んで、全国初の「罰則規定(50万円以下の罰金など)付き条例」の制定を検討中です。この動きに対して、日本ハラスメント協会の村嵜要代表理事に聞きますと「実名公表や罰則があることで抑止力になる。他の自治体でも同等の条例があっていいのではないか。ただ、店側も証拠となる録音・録画などを残すことが大事になってくる」ということでした。
「正当なクレームでもカスハラになる場合が」
クレームの中には、正当なクレームが含まれる場合も…村嵜さん曰く、加害者の多くは「自分の言ってることは正しい」と思ってやっているとのこと。
最大のポイントは「正当なクレームでもカスハラになる場合がある」。
これは、言っている内容は正しい、店側が100%悪くても、カッとなった状態・感情がのった状態で、つい言ってしまった余計な一言や威圧的な態度、やってしまった行動、それらがカスハラになる場合があるということなんです。
つまり、感情に任せず考えを整理することが大事になってきます。
自分が正しいと思っても、なるべく「時間を置く」。できれば1時間以上、1日置くことを推奨しています。そして、一旦「文章にする」。これによって、この部分は感情的な表現だけど、この部分は正当なクレームだよね、ということが自分でわかる。そして「誰かに言う」。こうすることで、考えが整理されるということなんです。
被害者にならないために、しっかり証拠も取っておくことが大事。そして、加害者にならないために、感情を抑えることも大切です。