コメの値段はどうなる?“新米”争奪戦は愛知でも…農家が小泉大臣に訴えたい「本音」とは

小泉大臣は備蓄米について新たに20万トンを放出する方針をきょう表明しました。全国のスーパーでのコメの平均価格は2週連続の値下がりとなりましたが、新米については、愛知県でも『争奪戦』が起きています。
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(大石邦彦アンカーマン)「愛知県の弥富市に来ました。田んぼが青々としています。こちらでも例年とは違う異変が起きているようです」
弥富市の鍋八農産。コメを中心に麦や飼料用コーンを生産・販売する従業員約20人の農業法人です。
(鍋八農産 八木輝治社長)
Q:田植えはもう終わった?
「ことしは早い品種は(田植えが)終わり、遅い品種もほとんど終わり」
Q:早い品種だと、だいたい稲刈りはいつ頃?
「8月上旬、お盆前には収穫」
保有する田んぼは約200ヘクタール。バンテリンドーム50個分ほどの広さ。ことしの新米については、約70トンの収穫を見込んでいますが…
(八木輝治社長)
Q:『おコメがほしい』との声はある?
「当然のように。種をまいている3月・4月から『おコメお願いします』と(依頼が)来ている」
Q:値段は?
「『だいたいこれくらい買いたい』や『まだわかりませんけどね』と必ず付いている。ただ『高く買いますから』と」
例年にない動き JAにも危機感の現れ?
そして鍋八農産がこれまで収穫量の1割ほどを納めてきた、JAにも変化が…
(八木輝治社長)「愛知県は(概算金が)まだ出ていないが、去年を踏まえると、かなり頑張った値段を出してくるのでは」
「概算金」とは、JAがコメを納める農家に集荷の前に需要や生産コストを踏まえて事前に支払う代金で、コメの流通価格の大事な指標となります。
JA全農にいがたは60キロあたりのコシヒカリの「概算金」は去年は1万7000円で、ことしは2万6000円以上を目指す方針だということです。そのほか、各地、値上げの動きが出ています。
(八木輝治社長)「少しでも早く(コメを)集めたい、という気持ちが出ていますね」
JAは例年夏から秋にかけて「概算金」の目安を提示しています。なんとか米を確保しようという危機感の現れといえそうです。
普段はない「精米」のオファー
(大石)「こちら倉庫の中に精米機がズラっと並んでいますね」
ここ鍋八農産では、収穫だけでなく精米も行っています。
(八木輝治社長)「取引先の(スーパーの)ヨシヅヤは『お願いします!』と来たので『やります!』と(精米の依頼を受けた)。結果受けられなかったが、楽天からもオファーが来て」
普段はないという精米のオファーが殺到しているそうで、今月13日には「スーパー・ヨシヅヤ」で販売する備蓄米80トンから100トンの精米を始める予定だと言いますが…
普段、ヨシヅヤの商品を運んでいる運送会社のスタッフです。きょうはヨシヅヤが契約した備蓄米の運送の段取りについて相談に訪れました。
(大石)「流通がかなりひっ迫していると聞くが?」
(運送会社)「そうですね、物量はその分多くなると思うので。多少みんなの負担は増えると思いますが…」
(大石)「その負担は、何かの物流を犠牲にしているのか、人を犠牲にしているのか?」
(運送会社)「人ですね」
(大石)「この実態を、僕は小泉大臣に見てほしいです」
備蓄米、外国産の緊急輸入…続く農家の不安
実は、小泉大臣は2016年、鍋八農産に視察で訪れていました。
(八木輝治社長)「小泉大臣がうちに視察がてら意見交換をしに来た。(当時)農林部長です。農業機械が高い、段ボール資材・肥料が高いことへの意見交換」
さらに、このときは農地の効率利用などについても議論をかわしたと言います。しかし、先日の小泉大臣のこの発言には懸念があるという八木社長。
(小泉進次郎 農水大臣)「(コメの)緊急輸入も含めて、あらゆる選択肢を私は持って向かいたい」
決定ではないにしても、備蓄米が底をついた先に外国米の緊急輸入となると…
(八木輝治社長)「(コメは)ないわけではないのに、(外国米を)入れたら飽和する。高すぎなければある程度の値段で買ってもらえる方向で、政治を回してほしい」
大臣がかわれど生産者の不安はつきません。