世界遺産の白川村に危機感「こんなにクマが出た年は初めて」“緊急銃猟”想定した夜の訓練も

全国各地で相次ぐクマの被害。岐阜県白川村では夜間の対応確認が行われました。
28日、白川村で警察や役場の職員、猟友会が参加した「夜間のクマ対応訓練」。
「クマ1頭が家の周りを徘徊している」という通報があったという想定です。
背景にあるのは、9月から始まった「緊急銃猟」制度です。
人の生活圏にクマなどが出没した場合、安全を確保したうえで、自治体の判断で緊急的に猟銃の使用を可能とする制度で、すでに富山県などで行われています。
28日は、警察官が猟友会の会員に猟銃を使用しての駆除を命じる手順や、住民を避難させる流れの確認をしました。
「実際にいつこういった場面に出くわすかわからないので、いつまでもできない・わからないでは済まない。引き続き市町村と連携を深めて対応を検討したい」(高山警察署 高家渡 警部)
地元の猟友会も、危機感を募らせています。
「親子のクマが川を渡って向こうへ行く。親子のクマも1匹のクマも出ています。53年猟をやっているが、こんなにクマが出た年は初めてです」(白川村猟友会 梨谷達雄さん)
もし差し迫った状況の場合、緊急銃猟制度を運用してもスピード感に課題があると指摘します。
「生き物なので、そこにずっといるわけではない。役場の職員や警察官が来るのを待っていられない。クマは待っていない。その間に人を襲う」(梨谷さん)
観光地ゆえの課題も

もうひとつの課題は、白川村が観光地だということ。世界遺産の白川郷では10月、スペインから訪れた観光客がクマに襲われけがをしています。
言葉の壁のある外国人観光客に、どのように理解してもらうか。
Q.温度差は?
「あるように感じます。現場でパトロールしていると、日本人は『怖い』というが、外国の方は珍しがって写真を撮っていく。世界遺産の荻町集落で、日中に緊急銃猟ができるかと言われると、非常に難しい。人混みで規制して安全確保するのは時間がかかるので、非常に困難を伴う」(白川村役場 産業課 高島一成 課長)
観光地ならではの課題も抱える、白川村。
来年をめどに、緊急銃猟の現場運用に関するマニュアルなどを整備していきたいとしています。





