
多くの人々をつなぐ拠点になっていけたら―― 地元産の食材を活用した地ビールを製造する「渥美半島醸造」 愛知・田原市

渥美半島の特産に、地元産の個性豊かなクラフトビールが新たに加わりました。愛知県田原市福江町に今年2月末にオープンした地ビール醸造所「渥美半島醸造」が、地域の新名所としてにぎわいを見せています。地域活性化のために築かれた拠点は、渥美の地に新たな息吹をもたらしています。
3月中旬から麦芽やホップの仕込みを始め、4月26日にクラフトビール2種類の販売を開始してから、その後に3種類のビールを販売。5月24日には、さらに新たに2種類のビールの販売を開始しました。

新発売した2種類のビールは、サワーエールの「WAIKOIKOI」と「KOIWAIWAI」です。
乳酸発酵させたビールで、商品名はニュージーランドの町の名から付けられたといいます。「WAI~」ははっさくとパッションフルーツ、「KOI~」はレッドプラムとラズベリーを風味付けに使っています。この2種類は、元は同じタンクで醸造し、その後にタンクを2つに分けて、それぞれに果物のフレーバーを付けているということです。
醸造所では、アメリカやドイツ、イギリスを産地とする麦芽と田原産の二条大麦の麦芽を使用しているほか、ホップはニュージーランド産、仕込み水は渥美半島で採取した水を用いています。
醸造所の担当者によりますと、「地元の食材で活用できるものをすべて扱って、田原産100%の商品を提供していきたい」と、目標を掲げているそうです。
なお、4月26日に先行販売した2種類のビール「PAKIPAKI」と「HOKITIKA」は、田原市赤羽根町の農家が生産した甘夏をフレーバーに使用しています。

醸造所は10バレル(1バレル=約160リットル)の醸造タンク6基、5バレルの醸造タンク2基のほか、ビールを缶に充填する機械、麦芽の粉砕機などを備えています。
担当者は「渥美半島の食材を活用し、地元の多くの人たちをつないでいきたい」と話し、醸造所を中心にして「地元の人たちのコミュニケーションのためのツールとしてビールが生き、地域に貢献していけたら」と今後の抱負を語っています。

醸造所を含む複合商業施設「あつみの市レイ」は、東三河を中心にスーパーマーケットなどを展開する渥美フーズの渡会一仁社長が代表を務める「あつみ編集舎」が旧施設を買収し、改修して2月末にリニューアルオープンしました。
旧施設の「ショッピングセンターレイ」は1971年8月に開業し、50年以上が経過して建物の老朽化などにより2022年3月に閉店しています。

醸造所で製造されたビールについては、渥美フーズが運営するスーパーマーケットのほか、醸造所に併設された「ATSUMI BREW PUB」で販売されています。