あふれる地元愛を胸に世界の舞台へ インターハイ3連覇のアーチェリー戸松大輔選手 愛知県岡崎市

大好きな地元にUターン就職。この春、社会人になったばかりのアスリートが、6年ぶりに世界の舞台へ。メダルを目指す姿に迫りました。
ヨーロッパ風のクラシカルな雰囲気のロビーが特徴的な、愛知県岡崎市のホテル。
さわやかな笑顔でお客さんを迎える新米スタッフは、地元出身、アーチェリーの戸松大輔選手。
4月に行われた代表選考会で、みごと世界への切符を射止めた25歳です。
「世界大会での勝率はすごく高いと思っているので、メダルも取れるんじゃないかなと個人的には思っています」(戸松選手)
高校時代にインターハイ3連覇

戸松選手がアーチェリーを始めたのは、小学5年の時。
お兄さんがアーチェリーをやっている姿に心を打たれ、興味を持ったのがきっかけでした。
「小学校の時はソフトボールとかもやっていたし、動きのある競技が好きだったんですが、アーチェリーっていうあんまり動きのない静かな競技に、なぜか分からないけど、どっぷりはまって」(戸松選手)
高校時代には史上2人目となるインターハイ3連覇!
さらに、インドアの世界選手権でも銀メダルを獲得するなど、世代ナンバー1の逸材として注目を集めました。
けがに苦しんだ大学時代

しかし…。
「大学2年の時にひじのけがをして手術した。それ以降、日本代表も2回くらい落ちたりとかして」(戸松選手)
けがをして以降、大学、そして大学院進学後も、世界の舞台には一度も手が届きませんでした。
それでも競技を続ける決意をしたのは、子どものころからの夢のため。
「どうしても出てみたい、オリンピックに出たいというすごく強い気持ちがあった。大学でも大学院でもかなわなかった悔しさがあって」(戸松選手)
同郷の銅メダリストを励みに

オリンピックに特別な思いを抱くきっかけとなったのは、地元の偉大な先輩の存在でした。
ロンドンオリンピックで史上初となる女子団体銅メダルを獲得した、蟹江美貴さん。
戸松選手にとって、小学校と高校の先輩です。
「凱旋されたときに、すごくかっこいいと思って。自分はこんなふうにメダルをとって活躍したいと思ったのがきっかけだった。オリンピックという大会は自分の中ですごく大きなものになっています」(戸松選手)
3年後のロサンゼルスオリンピックへ。
大学院卒業を機に、地元・岡崎に戻ってきた戸松選手。
その裏にあったのは、あふれ出る地元愛。
「愛はあります。岡崎市大好きですね」
地元・岡崎のホテルで研修中

戸松選手は今春、日本体育大学大学院卒業を機に、地元で就職。
オリンピック出場を目指して競技を続けるかたわら、岡崎オーワホテルで働き始めました。
「会社が『アーチェリーに集中できる環境を作ってあげる』と言ってくれたおかげで、自分もそこに飛び込んでいきました」(戸松選手)
アスリートとして就職する上で、勤務時間の調整や競技費用の援助も必要でしたが、もう一つ大きな決め手がありました。
「僕自身、アーチェリーだけじゃなくて、社会の一員になりたいという気持ちもあって。アーチェリーと仕事を両立できる環境を探していた」(戸松選手)
まだ入社して1カ月ほどのホテルスタッフ。研修バッジを胸に、フロント業務にいそしんでいます。
「言葉に詰まったりとか、臨機応変にいかない場面もあったりするので、もう少し経験を積んでいかないと」(戸松選手)
先輩は「超真面目、根が明るい」

一生懸命な新人に、一緒に働く先輩は…。
「メモをよくとってくれて、お客様の対応も丁寧。超真面目だと思います。真面目だけど、根が明るくて元気。若い。きらきらしている」(先輩の平根さん)
「皆さん優しく教えてくれる。『平根さ~ん、助けて~』みたいな感じでやっています」(戸松選手)
「『アルバイト経験はない』と言っていたけれど、ホント?っていうくらいコミュニケーションが上手だと思います」(平根さん)
練習拠点は母校の愛産大三河高校

現在は、母校・愛産大三河高校のアーチェリー場を練習拠点にしています。
かつて国際大会に出場し、結果を出していた高校時代に練習していた場所です。
「三河高校のアーチェリー場は国内でも良い射場。心地が良いというか、自分に集中できる。自分の世界に入れる環境と思っています」(戸松選手)
Q.名古屋を拠点にすることは考えなかった?
「全然考えていない。愛知に帰ってくるなら岡崎というぐらいの愛はあります。岡崎市大好きですね」(戸松選手)
岡崎の話題になると、話が止まりません。
「アウトレットが本宿にできるのもそうですし、ユーチューバーの東海オンエアさんの聖地巡礼ができるのも魅力です。あとはやっぱり味噌とか。地元のアナウンサーみたいな話になってますけど」と笑います。
アジア大会の試合会場は地元の岡崎

岡崎に練習拠点を戻したのも、地元への思いがあってこそ。
「アジア競技大会が愛知県であって、地元の選手として出たいという気持ちが強かった」(戸松選手)
来年、愛知県で開催されるアジア競技大会。しかもアーチェリーの試合は岡崎市で行われるんです。
「まず地元で開催するのもうれしいし、地元選手として出場してメダルを取れたら一番かっこいい。親や友達、いろいろな人に頑張っているんだぞというところを見てもらいたい」(戸松選手)
「世界大会でメダルを取る」

地元で大きな舞台に立つために…。
その第一歩となったのが、4月の代表選考会。
わずか2ポイント差でワールドカップの出場権を獲得。
オリンピックに出場した選手にも競り勝ち、6年ぶりの国際大会への切符を手にしました。
「しっかり世界大会でメダルを取ることを目標にやっていきたい。今年1年、世界大会で実力をつけつつ、練習でもしっかりやっていきたい」(戸松選手)
地元・岡崎で新たな一歩を踏み出した25歳。目指す世界の舞台に、狙いを定めます!
(2025年5月29日放送メ~テレ『ドデスカ+』じもスポ!より)