
お出かけでの防災対策 緊急時は「三角連絡法」も有効【暮らしの防災】

行楽のシーズンです。ショッピング、小さなお出かけ・レジャーから旅行など、いつもの暮らしとは違う環境で行動することが多くなります。楽しいワクワクした気持ちに水をさすようで申しわけないのですが、災害はいつどこで起きるかわかりません。今回は「お出かけでの防災対策」です。
お出かけ先での防災情報チェック

いつもと違う環境で災害に遭遇すると「何が起きたのかわかりません」。周りの人に声をかけるなどして情報収集することになると思いますが、その方もわからないかもしれません。このような場合、スマホでの情報収集、ラジオなど地元メディアでの情報収集が有効です。
交通機関がマヒして帰宅困難者になる可能性もあり、近くの避難所を探すことありえます。そこで、以下のような種類のアプリを予めスマホにインストールしておくことをお勧めします。
・災害情報アプリ
・radico
・らじるらじる
・避難所を紹介するアプリ
・地図アプリ(避難所や小学校・中学校など避難所になる場所を検索)
・YouTube(大災害時、放送局が地上波の番組をそのまま流すことも)
スマホのアプリは、それぞれ特徴があり使い方も違います。まずは、いくつか使ってみて自分にフィットしたアプリを見つけておいてください。普段使いしてご自宅での防災でも活用し、慣れておきましょう。
本当は「お出かけ先のハザードを事前にWebなどでチェックして」と言いたかったのですが、自治体がHPなどに掲載している情報は住人向けの資料が多く、また住人向けの印刷物をそのままPDFにして掲載しているケースが多いのが現状です。「お出かけ前のチェック」には向いていません。(観光客向けのものは、あまり無し)
有名な観光地では、鉄道の駅前、道の駅、観光案内所に「簡易なハザードマップ」「避難所マップ」を掲示、そのパンフレットを配布しています。そこでチェックできます。
観光に力を入れている自治体は、観光客向けの防災情報の発信にも力を入れてもらいたいものです。
連絡先のMEMO

以前も紹介しましたが、家族や友人・大切な人のスマホの電話番号やメールアドレス、SNSのアカウントは意外と覚えていません。名刺大の「災害・避難カード(家族連絡カード)」を作って持ち歩いて下さい。
「三角連絡法」を利用

家族の間で緊急時の連絡方法も打ち合わせをしておきましょう。「災害伝言ダイヤル171」や「三角連絡法」が有効です。災害が発生すると、みんなが一斉に電話を使うため電話が繋がりにくくなります。
「三角連絡法」は、電話がつながりやすい「遠く離れた場所に住む知人」を通じて連絡を取る方法です。また、電話がつながりにくくても短いメールやSNSでは連絡が取りやすい場合もあります。
ショッピング・ちょっとしたお出かけで持っていると良いもの

持ち物で大切なのは、スマホ用のモバイルバッテリーなど充電機器です。それにハンカチ(止血にも使える)、ティッシュ、ウエットティッシュ(ポケットタイプ)、マスク、携帯トイレ、携帯用ブランケット(薄いアルミフィルム)、ポケットライト、ビニール袋、携帯食(1~2食分)、飴・キャンディー、ペットボトル飲料(500ml)、小銭(公衆電話用)、バンソウコウは持って行きたいものです。
持病の薬(数回分)があると安心です。これらを小さなポーチに入れておくと、持ち運びに便利です。
※スマホは懐中電灯の代わりになりますが、バッテリーを消費するので要注意です。
ドライブでは

車で出かける場合は、上記の「防災ポーチ」を人数分に加え、食料・飲料、組み立てトイレ、バスタオルがあると心強いと思います。LEDライト、懐中電灯、軍手も必須です。アウトドア派の方はテント、タープ、折りたたみテーブル・椅子、料理グッズがあるといいでしょう。
何かと役立つのは、荷造りロープ、布粘着テープ、大きめのビニール袋はいろいろ便利です。ビニール袋は底に穴を開けて頭から被れば、レインコートや防寒着にもなります。ポータブル電源を持っている人は、お出かけのとき車に乗せましょう。
いろいろ持ち歩いても、災害に遭遇せず「荷物が重くなっただけ」になるかも知れません。でもそれはいいこと。「役にたたなくてよかったね」と思いましょう。
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被災地取材やNPO研究員の立場などから学んだ防災の知識や知恵を、コラム形式でつづります。
■五十嵐 信裕
東京都出身。1990年メ~テレ入社、東日本大震災では被災地でANN現地デスクを経験。報道局防災担当部長や防災特番『池上彰と考える!巨大自然災害から命を守れ』プロデューサーなどを経て、現ニュースデスク。防災関係のNPOの特別研究員や愛知県防災減災カレッジのメディア講座講師も務め、防災・減災報道のあり方について取材と発信を続ける。日本災害情報学会・会員 防災士。