名古屋城天守の木造復元をめぐる障害者への差別発言問題 市は差別発言を受けた男性に謝罪

名古屋城をめぐる「障害者への差別発言」などを受けて、市は差別発言を受けた男性に謝罪したことを明らかにしました。
「バリアフリーの実現が障害者にとって人権問題であるという認識が十分ではなく、障害者団体との対話する姿勢が欠けていた」(名古屋市 観光文化交流局 谷 太陽 総務課長)
先ほど、名古屋市議会で報告されたのは、名古屋城天守の木造復元をめぐる差別発言などにおける市の「総括」。
事の発端は…。 2023年市民討論会
「平等とわがままを一緒にするな。どこまで図々しいのという話で、我慢せいよという話なんですよ」(参加者)
名古屋城「差別発言問題」。
名古屋城天守は耐震性などの問題から、改修が必要になり、河村たかし前市長は「木造」での復元を目指していました。
焦点の1つとなったのは、エレベーターを設置するかどうか。
そんな中、おととし開かれた「市民討論会」で、車いすの男性がエレベーターの設置を求めると…。
「生まれながらにして、不平等があって平等があるんですよ。障害があって生まれるかもしれないけど、健常者で生まれるかもしれない。それが平等なんですよ」(参加者)
河村前市長が参加する中で、発言を止められなかった、名古屋市。
多くの人に木造天守を観覧してもらえるよう「昇降技術の開発を進めていく」

この問題をめぐり、去年9月に検証委員会が最終報告をまとめ、差別発言を止められなかったのは「市長や市職員の人権問題への意識の低さ」が要因の一つと指摘。
そして先ほど市は、市議会に再発防止策などをまとめた「総括」を報告しました。
「これを機会に謝罪も含めて行かれてはどうですか」(浅井 正仁市議)
「委員会に先立ち、差別発言を受けられた方に直接お会いして、バリアフリーの実現を強く望んでいるというお話があったので重く受け止めたい」(名古屋市 観光文化交流局 佐治 独歩局長)
木造復元事業の再開にあたり、市は差別発言を受けた男性に謝罪したことを明らかにしました。
さらに、多くの人に木造天守を観覧してもらえるよう、「昇降技術の開発を進めていく」としています。
名古屋市にある障害者団体のメンバーは。
「謝罪は当然必要ですけど、それだけで終わりにしちゃいけないなぁと。車いすや障害を理由に利用できないことが観光地や建物であってはいけないと思うので、二度とこういうことがないようにしてほしい」(障害者団体のメンバー)
市は今後、障害者団体などへ謝罪と説明を進め、事業再開の理解を得たいとしています。