LEDランプへ交換 点灯管を外さず電気を流すとショートも 器具側とランプ側の点灯方式は要確認

2027年問題、すぐそこに。部屋を明るく照らす照明。今も使われている「蛍光ランプ」が近い将来、無くなってしまうんです。
本庁舎が国の重要文化財に指定されている、名古屋市役所。
この歴史ある建物で、LEDランプへの移行が進む理由。省エネ目的だけではありません。それは――
「昔からLED化という点で順次進めてきたが、2027年に蛍光ランプの製造が廃止になるということで、その後のことを見据えれば、きっかけとして、さらに加速させる必要があるのかなと思っています」(名古屋市 総務課 助川高浩さん)
人体に有害とされる「水銀」が含まれる蛍光ランプ。
健康被害や環境汚染などを防ぐため、おととし、国際的な会議で、全ての蛍光ランプについて、製造と輸出入が禁止されることが決定しました。
その期限は「2027年」。再来年に迫っています。
もちろん、日本も例外ではありません。
名古屋市役所では切り替えを進める

国は2030年度までに照明のLED化率100%を目指すとしていますが――
「廊下に関してはまだLED化ができておらず、蛍光ランプのままになっています。執務室の中では、LED化が完了しているので、明るさが違って見えるかと」(助川さん)
名古屋市役所の3つの庁舎に設置されている照明は、約13600基。
現在は、約4割がLEDランプに移行されていますが、なかなか進まないところも――
「西庁舎や東庁舎の照明は254Vという、特殊な規格の照明が導入されていて、LEDランプの既製品がなく製作に時間がかかり、費用が高額ということで正直まだ進んでいない実情でございます」(助川さん)
いずれはなくなってしまう蛍光ランプ。計画的にLEDランプを導入するため、すでに市は今後を見据えています。
「計画的にできるところは、LED化を進めながら2030年に向けて、しっかりと予算を確保して、やっていければいいのかなと考えています」(助川さん)
蛍光ランプは価格も上がっている

名古屋市役所の「LED化率」は4割程度ということですが、一般の家庭はどうなんでしょうか。
去年8月に全国1万人を対象とした照明に関するアンケートによりますと、LEDに切り替えを終えている家庭は53.8%、つまり、まだ半分ほどにとどまっているといいます。
そして2027年末に生産が終了する蛍光ランプ。価格も上がっています。
最近では製造コストが上昇していることなどを理由におととし10月から、パナソニックでは約80%、東芝ライテックでは約90%と大幅な値上げとなっています。2倍近くに上がっているんです。
値上げもあるのでこれを機にLEDに変えるという手も、今後進めていかなければならない、LEDへの切り替え。
家電量販店「エディオン」の担当者に聞きました。
蛍光灯を購入する客へ直接、声を掛けるなどして
生産終了について周知し、早めの切り替えを呼び掛けているということです。
LEDランプに替えるだけが思わぬ事故に…

一方で、LEDへのランプの取り替え、正しく扱わないと思わぬ事故につながる危険性もあります。
こちらは実験映像です。
丸い蛍光ランプからLEDランプに交換して使い続けていたところ、突然、点滅を繰り返すようになりました。
カバーを外してみると、煙からやがて炎が、ランプに内蔵している回路が燃えてしまいました。
蛍光ランプの中には「点灯管」や「安定器」などの部品によって、高電圧を流して点灯するタイプがあります。
「点灯管」を外さずにLEDランプに電気を流すと、内蔵されている回路に高電圧が流れ、異常発熱やショートを起こしてしまうことがあるといいます。
自分でランプを交換するときは、器具側とランプ側の点灯方式を確認し、取扱説明書の注意事項を守る必要があります。
気をつけたいポイント

さらに、交換後は点灯して異常がないか確認も必要です。
NITEに通知のあった事故の多くが交換から数年後に起きています。
「点灯方式」は3種類。「点灯管」の有無や、照明器具の銘板への記載で確認することができます。
取り付けるランプがこの方式に対応しているかどうか、確認のうえ設置しましょう。
また、照明器具の交換時期について10年を超えている場合は、器具ごと交換することを検討してほしいということです。