市立小中学校すべてに防犯カメラ設置へ 盗撮事案きっかけ 設置場所、映像の管理は? 愛知・みよし市

愛知県みよし市が、小中学校への防犯カメラ設置の方針を打ち出しました。ねらいは児童・生徒の盗撮被害の防止です。果たして効果は?
10日から始まった、みよし市の定例議会。
総額15億円余りの補正予算案のうち、約5772万円を盛り込む”目玉政策”のひとつが「防犯カメラ」です。
設置されるのは、市内12の全市立小中学校。計194台のカメラが来年4月から運用を始めるといいます。
この計画が動き出したきっかけは、市内の学校で起きた盗撮事案です。
今年7月、中学校の女子更衣室の中を盗撮しようとしたとして男性講師が逮捕されました。男性講師はその後処分保留で釈放され、任意での捜査が続けられています。
市によると、他にも学校内での盗撮事案が確認されたといいます。
みよし市だけではありません。愛知県警は、校内で撮影されたとみられる女子児童の盗撮画像をSNSのグループで共有していたなどとして、名古屋市の小学校に勤務していた教師らを相次いで逮捕しています。
「学校の臨時の保護者会での意見で、盗撮被害を防止するために、防犯カメラなどを考えることはできないのかという意見が出た」(みよし市教育委員会 竹山伸幸 参事)
教育現場への信頼が大きく揺らぐ、教師による児童・生徒の盗撮。
みよし市は安全対策の一環として、校内を”見張る”防犯カメラの設置計画を掲げました。
設置は「出入口が見える場所」

校内に14台が設置される予定の黒笹小学校。カメラを設置する場所は――。
「天井のスペースにカメラをつけて、廊下を全体的に撮れるような。出入り口を確認できるような視野範囲で、カメラの設置を想定しています」(みよし市教育委員会 学校教育課 鈴木景太 主任主査)
設置するのは、出入口が見える場所。着替えに使う教室やトイレの出入りを記録し、盗撮被害があったときの特定作業に活用するといいます。
授業を受けたり、着替えたりする教室の中の様子は撮影しないとしています。
「安心カメラというか、子どもたちが安心して生活できるように」(黒笹小学校 江上俊郎 校長)
この取り組み、市民はどのようにとらえているのでしょうか。
「本当はカメラがない状態で学校が運営できることが一番望ましいと思う。生徒・保護者のためにもあったほうがいいんじゃないか」(60代)
「安全第一で、制度を整えるのはすごく助かる」(子どもが3歳の母親)
一方で、こんな声も。
「親としては学校の状況が安全に見守れると思うが、見られているので萎縮してしまうような、行動を制限されるように感じる子どももいると思う」(子どもが小学6年の母親)
撮影されたデータ、どう取り扱う?

盗撮画像などのインターネットパトロールを行うボランティア団体「ひいらぎネット」の永守すみれ代表は、防犯カメラの設置は「大きな抑止力になるのではないか」と評価します。
「これまで学校の中は、ある意味、誰にも見られない場所になっていたと思います。防犯カメラ設置で『犯行がばれるかもしれない』と抑制されるのではないかと期待しています」(永守代表)
一方で、撮影されたデータの取り扱いについて懸念も。
永守代表は、管理者自身が「加害者」となるリスクもあると指摘します。
「カメラのデータの管理などは、学校現場に任せるのではなく、例えば教育委員会にデータがいくようにする。データをチェックする時には1人の先生が権限を持ってアクセスできるのではなく、例えば最低2人の先生が同時にアクセスを許可する、パスワードを入れるようにして、 属人的に管理するようにならない体制づくりが必要ではないか」(永守代表)
防犯カメラの設置に関する費用を含む補正予算案の採決は、10月2日に予定されています。
承認されれば、防犯カメラの映像を誰が管理するかなどの具体的な運用方針について、外部の意見を取り入れながら決めるとしています。