乾燥でインフルエンザの感染増のワケ 湿度でウイルス生存率に大きな変化が… 感染対策には「湿度の管理」と「マスクの着用」
各地で猛威を振るうインフルエンザ。名古屋でも過去最多の感染者数を記録しました。寒暖差のほかに、流行の一因となっているのが“乾燥”です。
磯部内科クリニック 磯部智院長:
「(今季)非常に雨が少なくて空気が乾燥した。異常気象が急激なインフルエンザの増加をもたらしたと考える」
なぜ乾燥するとインフルエンザの感染が増えるのでしょうか。
感染症に詳しい愛知県立大学の清水宣明教授によると、夏は空気中の湿度が高いため、咳をして出たインフルエンザウイルスを含む飛沫が空気中の水分を吸着して、ウイルス自体が重くなって浮遊しづらくなります。
一方で、冬は空気の乾燥によって飛沫が蒸発して小さく軽くなり、空気中に浮かびやすくなります。つまり、「低温」で「乾燥」している場所では、インフルエンザウイルスを吸い込みやすい状況になっているのです。
さらに、乾燥がインフルエンザウイルスの生存率を高めるというデータもあります。温度が20.5℃~24℃のときのインフルエンザウイルスの生存率のグラフを見ると、湿度が40%未満では半数以上が生き残っていますが、湿度50%で大幅に減っていることがわかります。
人間は空気の乾燥によって鼻やのどの粘膜が乾燥するため、ウイルスを跳ね返すことができず、体内に吸収してしまいます。
つまり、冬の乾燥した空気は、インフルエンザウイルスにとって有利なのです。
インフルエンザウイルスの対策には、50%~60%に部屋を加湿することが大切ですが、もう一つ重要なのが「マスクの着用」。新型コロナウイルスの粒子は小さいため、マスクを通してしまい感染拡大しましたが、インフルエンザウイルスの粒子は比較的大きいため、マスクを通ることができないのです。
「マスクの着用」と「湿度の管理」で、しっかりとインフルエンザを予防しましょう。