
プールでは残されたリンが寂しそうに…名古屋港水族館のシャチ『アース』が天国へ 7/31からエサ食べず容体悪化


名古屋港水族館の人気者で、国内唯一のオスのシャチだったアースが8月3日、天国に旅立ちました。夏休みの子供たちなど、多くのファンが献花に訪れています。
■人気者と“突然の別れ”…『天国で元気よく泳いで』
名古屋港水族館に入ってすぐの水槽の前には献花台が作られ、多くの花が供えられています。水族館の2頭のシャチのうちの1頭、16歳のオスのアースが3日未明に死に、多くのファンが感謝を伝えようと訪れました。

小学4年生: 「シャチが死んじゃって悲しかった」 埼玉県から来た人: 「きのう仕事中に訃報を聞いて、職場で涙が止まらなくなっちゃって。本当は来ないつもりだったんですけど、弾丸で(来た)。『天国で元気よく泳いでね』という思いでお花をあげました」 アースの写真をずっと見つめる男性もいました。 滋賀県から来た男性: 「アースは、僕をシャチ好きにしてくれた一番の存在。本当に寂しい」

名古屋港水族館の栗田正徳館長(8月3日): 「(7月31日は)普段ですとエサを持っていると飼育係に寄って来るんですけれど、寄って来ずに、エサを食べないような状態になりました」 水族館によりますと、アースは7月31日からエサを食べなくなり、2日夜に呼吸が荒くなり容体が急に悪化。そのまま命を落としました。 名古屋港水族館の栗田正徳館長: 「アースの雄大な姿、愛嬌のある個性など、来館者の多くの方々の心に残っていると思います」

名古屋にシャチを…との強い願いのもと、現在の北館の増築の際に、国内最大のプールが作られました。 2003年に和歌山県の「くじらの博物館」からクーを迎えて以来、シャチは押しも押されもせぬ水族館の目玉となりました。

2012年には赤ちゃん「リン」が誕生し、注目を集めました。
■名古屋港水族館では1頭だけに…残された「リン」を心配する声も
アースは千葉県の鴨川シーワールドで生まれ、2015年に名古屋港水族館にやってきました。

国内で飼育される唯一のオスで、体長6メートル、体重3.7トンの迫力ある姿が人気を集めました。 4日、アースがいなくなったプールでは、残されたメスのリンが、心なしか寂しそうに泳ぐ様子が見られました。 シャチの飼育担当の神田幸司課長: 「アースがいなくなったことは寂しいんですけれども、一方でリンのケアには全力をあげていかないといけません。シャチというのは元々、社会性の強い動物ですので、1頭であまり長期間じっとさせておくのはよくないだろうと」

水族館ではリンの精神的な影響を考慮して、1日3回あった公開トレーニングを当面中止に。日中は飼育員が近くで見守り、4日からイルカ一頭と一緒にして様子をみているということです。 シャチの飼育担当の神田幸司課長: 「1頭ですと、何もすることがないのが大きな問題になります。過去の経験上、相性のいいイルカがいますので。人間と同じように、誰がいいかはこれから見ていきたい」 水族館では、アースを解剖して死因を調べたあと骨格を残す予定で、新たなシャチの飼育については、あらゆる可能性を排除せず検討していくとしています。