「秘密の白い粉」で養殖ウナギの約9割が大きく身が柔らかく育つメスに 絶滅危惧種「ウナギ」の救世主に

7月31日で2回目を迎えた土用の丑の日。名古屋市東区にあるうなぎ店「うなぎのしろむら泉店」では、炭火でじっくりと焼かれたうなぎを求めて、ランチの時間帯から多くのお客さんで賑わいました。しかし、ウナギは絶滅危惧種に指定されています。同店の支配人・加藤一真さんは「年々漁獲量は減っていて『貴重なものを食べているよ』とお伝えしているつもりです」と現状を話します。
限りある資源をどのように守っていくのか。いま、ある取り組みに注目が集まっています。秘密は「白い粉」です。

取材班がヒントを求めて訪れたのは、高浜市にある養鰻場「ヤマヤ養魚」。一般的に養殖のウナギは、育てていく過程で9割以上がオスになるといわれています。しかし、ヤマヤ養魚は9割がメスです。このメスのウナギが、救世主になるかもしれません。
資源保護につながるメスウナギ

ヤマヤ養魚の糟谷禎取締役によると、オスのウナギは大きくなると身が硬くなるため、1匹200から250グラムで出荷されます。一方、メスは大きくなっても身が柔らかいため、最大で1匹450グラムのサイズまで出荷が可能といいます。
糟谷取締役:
「1匹を2人で分ければ、稚魚であるシラスは1匹ですむ。資源保護のために取り組んでいます」
“白い粉”は大豆イソフラボン

メスのウナギを育てるために必要となるのが、“秘密の白い粉”である大豆イソフラボン。大豆イソフラボンは女性ホルモンと構造が似ており、これに愛知県の水産試験場が着目しました。大豆イソフラボンを餌に混ぜてウナギに与えると、約9割がメスになったのです。
販路拡大を目指す「碧海うなぎ」

高浜市内では、メスのウナギを提供する飲食店もあります。実際に食べてみると、脂がさっぱりしておいしい味わいでした。ヤマヤ養魚では、メスのウナギを「碧海(へきかい)うなぎ」として売り出し、今後は販路を拡大していきたい考えです。

糟谷取締役:
「今年(2025年)は去年よりも(メスのウナギを)約3倍、6トン500キロを出荷しました。来年、再来年も9割以上(メスのウナギを)出荷できるように頑張っていきたいです」