
2026年4月義務化の“こども誰でも通園制度” 一時預かりに保護者は「ちょっとだけでも助かる」 制度開始を前に保育士不足で厳しい状況の自治体も…

三重県津市の認定こども園「香良洲浜っ子幼児園」。0歳~6歳まで122人のこどもが通っていますが、10月から預かるこどもが増えました。
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(利用者)
Q.きょうは何回目の利用ですか?
「2回目です。病院できょう。受診でちょっと長くなりそうなので(利用した)」
全員が毎日通っているのではなく、一時預かりでここへきた子どももいます。正規に入園するのではなく、必要な時にだけ使える「こども誰でも通園制度」。少子化対策の切り札として登場しました。
(岸田文雄総理・2023年当時)
「こどもファーストの経済社会を作り上げ、出生率を反転させなければなりません。“異次元の少子化対策”に挑戦する」
2026年4月からは、全国の自治体に導入が義務づけられているこの制度。親が働いているかどうかに関わらず、生後6か月~3歳未満のこどもを月10時間まで保育所などに預けられます。
「ちょっと預かってもらえるだけで助かる」
(ななみちゃんのお母さん)
「お母さん買い物に行ってくるから。なんかあったら近くにいるからね」
2歳11か月のななみちゃん。これまで、お母さんと離れたことはほとんどありませんでしたが、来年から保育園に通うのを前に、自立の練習として制度を利用することにしました。
(ななみちゃんのお母さん・初めて利用)
「今までずっと離れたことなかったので。(大丈夫そうですね)」
Q.今日はどちらに行かれるんですか?
「近所のイオンモールに行く」
1歳7か月のきさらちゃんのお母さんは…
(きさらちゃんのお母さん・2回目利用)
「実家が新潟なので」
Q.こういう制度は有り難い?
「使えるだけ使ってっていう感じです」
1人時間で近くのショッピングモールに。
他にも…
(みれいちゃんのお母さん)
「1人でやりたい家事がある時とかに使おうと思っています」
利用料は原則1時間300円。食事やおやつの提供はできないため、長くても2~3時間の利用がほとんどですが、核家族が増えて自分の親に頼れない人も多い中、ちょっと預かってもらえるだけで助かるといいます。
保育士は普段の様子がわからず一苦労…
一方で受け入れる側は…
(保育士)
「(普段)どうやって飲んでいるの?そんな感じ?」
普段の様子がわからないため、ミルクを飲ませるだけでも一苦労です。
(保育士)
「保育園だと(通っているから)その子のことが、だいぶ分かってくるからいいですけど…良かったです。飲んでくれて」
(保育士)
「毎日(入園の)4月。4月1日」
最大の課題は「保育士不足」
対象になる乳幼児は津市内に約1700人いますが、東京23区とほぼ同じ面積で、制度を導入している保育所はこの1か所だけ。
(利用者)
「こっちまで20分くらいかかるので、(自宅の)近くにできるとありがたい」
運営は国からの補助金で行われるため、自治体の判断で簡単に数を増やすことはできませんが、最大の課題が「保育士不足」です。
(津市 保育こども園課・宮本徳仁さん)
「継続的に(制度を)実施していくには、安定的な保育士の確保が必須。国には民間事業者が参画しやすい、給付単価の設定や保育士の処遇改善を引き続き要望したい」
「実施する施設の調整は全然ついていない」
津市では制度の開始に向け、何とか4人の保育士を採用できましたが、保育士が足らず、制度を始めることに不安を抱く自治体もあります。
(中道陸平記者)
「こども誰でも通園制度のスタートが、より厳しい状況となっているのが、四日市市です」
四日市市では保育園に入所できない、いわゆる「待機児童」が、2025年4月時点で56人と全国ワースト4位。この状況で「子ども誰でも通園制度」を始めるのは難しいのが現実です。
(四日市市 保育幼稚園課・廣田厚史課長)
「保育士不足の中で、こども誰でも通園制度をやる人員が確保できない。保育園や幼稚園の関係団体の方々と協議をしているが、市内で制度を実施する施設の調整は全然ついていない」
2026年4月から、全自治体に実施が義務づけられる「こども誰でも通園制度」。しかしこのままでは、机上の空論になりかねない現実もあるのです。
(高市早苗総理・所信表明演説 10月24日 )
「日本の最大の問題は人口減少であるという認識にたち、こども子育て政策を含む、人口減少対策を検討する体制を構築する」
2026年4月制度開始も課題どうなる?
この制度で、初めて保育施設に来た2歳のななみちゃん。
(ななみちゃん・2歳)「お母さん」
約3時間でお母さんが迎えに来ました。楽しそうな様子にお母さんも一安心。来年からは地元の保育園に通わせることができそうです。
(ななみちゃんお母さん)
「泣いて呼ばれるかと思ったけど全然でしたね。そわそわしました」
少子化対策と子育て支援に有効な手を打てるのか。そこには、国の将来がかかっています。
CBCテレビ「ニュースクロス」2025年10月30日放送より





