現場検証直後に単独取材 「壁の血は全部私が拭き取った」家族の思い出と忌まわしい記憶残る“現場”で聞く 執念の捜査「絶対に捕まえます…」名古屋・西区主婦殺人事件【大石邦彦取材】

発生から約26年を経て急展開した名古屋市西区の主婦殺害事件。11月1日、現場検証を終えたばかりの事件現場で、殺害された高羽奈美子さんの夫、高羽悟さん(69)を大石邦彦アンカーマンが取材しました。
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(大石邦彦アンカーマン)
「ついにこの日が来ましたね」
(高羽悟さん)
「意外すぎてちょっと…信じられない」
高羽さんが9000日以上にわたって家賃を払い、“保存”してきた名古屋市西区の事件の現場アパート。玄関には血痕が残されています。
(高羽悟さん)
「ここに犯人の血ですね、今思えばきのう逮捕された安福容疑者の血です」
(大石)
「足のサイズと、そして動かぬ証拠として血液型とDNA型を、ここで残していったということ」
(高羽悟さん)
「残しておいてほんと良かった」
凄惨な殺害現場「(血は)すべて私が拭き取った」
当時32歳だった妻の奈美子さんを殺害された悟さん。当時の凄惨な現場を振り返ります。
(高羽悟さん)
「(奈美子さんは)押し込められてここまで来て、血がこの辺飛んでいた。とどめを刺されたのはここ。右か左の首の頸静脈か頸動脈を切られた」
(大石)
「壁紙は変えた?」
(高羽悟さん)
「全部私がきれいに拭きました」
(大石)
「壁紙の血を拭き取る時は…」
(高羽悟さん)
「泣けてきますよ。なんでこんな事しないといけないんだろうと。兄弟とか親戚に頼める訳じゃなくて、こんな殺害現場の掃除なんて。『助けて』なんてとてもじゃないが言い出せなかった。もう自分でやるしかないなと思って」
部屋には、当時2歳だった長男・航平さんのおもちゃなどもそのまま。26年、決して忘れることはなかった事件。悟さんは、警察官とのあるエピソードを明かしてくれました。
去年4月に赴任した刑事「絶対僕が来たから捕まえます」
(高羽悟さん)
「去年の4月に赴任してきたんですかね。(刑事が)私の前で『絶対僕が来たから捕まえます』と、『西署にある(リストアップした)情報の中の女に絶対犯人がいると思う。ひとつひとつしらみつぶしにあたります』と言って、本当にその通りになった。(担当刑事として)彼が来てからは、2か月に1回家に来たり、『いま調書を読んでいるが、これが分からないから教えてもらえますか』と電話がかかってきたり、今までの人と全然違う。この人なら解決してくれるかもしれないと」
これまで警察は、目撃者や交友関係のあった人物など5000人以上を聴取。そして去年からは、捜査対象者を数百人にまで絞り込み、その中に安福容疑者も入っていました。
「現場検証しているところを見たかったが部屋には入れなかった」
(大石)
「26年間ずっと保存していたその部屋で現場検証が行われた。どんな心境でしたか?」
(高羽悟さん)
「実際現場検証しているところを正直見たかった。部屋には入れないということで、部屋の鍵を開けて閉めることだけ担当した。彼女(安福容疑者)がここに入るのは2回目のはずですから、心境を聞きたいと思う部分はあるし、逆に『二度とお前なんか入るなよ』という気持ちもある。その辺は複雑ですが、ずっと言っていた(容疑者を)現場検証に立ち会わせるという願いはかなった」
高校の卒業アルバムを見せてくれた高羽さん。
(高羽悟さん)
「彼女(安福容疑者)は307だったかな…これですね。同級生だった」
(大石)
「旧姓が山口さん」
安福容疑者は悟さんと高校時代の同級生で軟式テニス部でも一緒。悟さんは好意を寄せられていたといいます。
(高羽悟さん)
「僕としては彼女とほとんど会話した記憶がない、彼女がどういう食べ物が好きだとか記憶が今は全くない。いくら告白をしていただいても、ごめんなさいという感じでした」
「(詳細は)全然分かっていないので報告できていない」
(大石)
「改めて高校時代のアルバムの中に容疑者がいたという事実をどう受け止める?」(高羽悟さん)
「見れば見るほど、そんなことができるような女性じゃなかったので、未だに信じられない」
(大石)
「奈美子さんにどんな報告をしましたか?」
(高羽悟さん)
「全然分かっていないので、報告できてないです。なぜ彼女が犯人なのか、動機とかもいまだに分からないので、ある程度まとまってから報告する。犯人は捕まったよと、そういう思いで手は合わせましたけど、まだ…」





