
「それ詐欺やで」 警察官が本気で作った特殊詐欺対策動画 ラガーマンのタックルで詐欺電話を阻止!? 岐阜県警が初開催した動画コンテストの裏側に密着

わなが張りめぐらされた家で、おじいちゃんと孫がユーモアあふれる掛け合いを展開する動画が、岐阜県警察のYouTube公式チャンネルで公開されています。
祖父「特殊詐欺から守るためにしかけた固定電話対策なのじゃ!」
孫 「固定電話対策ってそういうことじゃなくね?」
特殊詐欺を未然に防ぐための固定電話対策をテーマに制作された、この動画。作ったのは岐阜県警の警察官です。実は、詐欺の被害を防ごうと、ある秘策が始まっていたのです。岐阜県警で行われた自作の動画コンテストに向けて、初めての動画作りに奮闘する警察官を追いました。
特殊詐欺を防ぐため…警察官が固定電話対策動画を自作

今年初めて開かれた警察広報用動画コンテスト。出場に名乗りを上げたサイバー犯罪対策課は、プロラグビーチーム「トヨタヴェルブリッツ」とのコラボ動画を撮影することになりました。
撮影当日、選手が到着する前から緊張していたのが、監督を務める野々村篤巡査部長です。

選手にデモ動画を見てもらい、撮影に臨みますが、野々村さんたちも普段は警察官。映像制作はほぼ素人です。
それでも「電話が鳴りますので、どなたか1人取ってもらいます」「『それ詐欺やで』で立ち上がってください」と選手たちに指示を出し、撮影が進むにつれ、徐々に監督らしい振る舞いに。
岐阜県警サイバー犯罪対策課 野々村篤巡査部長:
「全部初めてでずっと緊張してたので、あんまり覚えてないって言ったらあれですけど、(動画が)わかりやすくなればいいかな」

1時間かけて撮影した映像は140秒以内にまとめます。
完成した動画を上司に見てもらうと「プルルルルをさ、電話から出すことできる?」「ローマ字よりもカタカナ。年取った人はカタカナの方がいいかな」と熱のこもったアドバイスが。
こうして出来上がったのが、固定電話に出て騙されそうになっている選手をタックルで止め、留守番電話に設定して、詐欺への対策を呼びかけるものです。

編集から約1か月後の8月8日、最終審査会が開かれました。
出品された全118作品のうち、野々村さんたちの動画『サギ電話にタックル』は、最後の8つにノミネートされましたが…最終審査の結果、漫画風の動画『こんな固定電話対策は嫌だ』が1位を獲得。

野々村さんたちは残念ながら優勝を逃してしまいましたが、特殊詐欺被害を防ぐため、警察も様々な工夫をしています。
岐阜県警サイバー犯罪対策課 野々村篤巡査部長:
「動画1つ作るにも大変だなということを実感しましたし、同僚・上司の支えがあってこそできるもんだなって再認識したので、少しでも大きく犯罪という点で見直す機会をもってもらえれば」
詐欺被害を減らしたいという思いがつまったこれらの動画。夏休みなどで家族が集まるときに話題にしてほしいということです。
※動画はYouTube「岐阜県警察公式チャンネル」で公開中