中部電力が「水を張らない」コメ作り 水田からのメタンガス発生を約8割抑える“脱炭素米” 愛知・新城市

今後、コメは安定して供給されるのでしょうか?新たな試みが始まっています。
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愛知県新城市の田んぼで行われていたのは、中部電力による「水を張らない米づくり」です。水が張られていない田んぼの上を飛ぶドローンが散布しているのは液体の肥料。
(中部電力 事業創造本部 山田倫章 部長)
「高齢化や従事者の減少といった課題の解消につながるのではないか」
通常、水田は土をおこし水を張ったあと「代かき」をして均一にならし、そこへ苗を植えるという人手も手間もかかる作業が必要ですが…
(中部電力 事業創造本部 犬飼涼二さん)
「苗をつくる育苗という作業や代かきをする作業がなくなり、水の管理の工数が大幅に削減できる」
この「水を張らない米づくり」は水の管理の省力化などを通して労働時間を約6割減らすことができ、生産者自体の減少も見込まれる中で、コメの効率的な生産が期待できるのです。
メタンガスの発生を約8割抑える効果も
こうしたコメ作りを可能にしているのが…
(中部電力 事業創造本部 犬飼涼二さん)
「こちらの資材を使うことで根が広く張るので、乾田でも水分や栄養分を吸収できる」
使われている肥料はビール酵母などをつかった物で、根が病気に感染したと勘違いして、より栄養分を吸収しようと根を張り巡らせるといいます。
(中部電力 事業創造本部 犬飼涼二さん)
「(水を張っていない田んぼで作った稲は)根の部分が大きく違う。 毛細血管のようになっていて(量も多くて長い根)。これで根の周りの水分や栄養分を吸収する」
さらに、水を張ることで発生するメタンガスを約8割抑えることができ、環境にも優しいコメ作りなのだそうです。去年、この栽培方法で初めて収穫したコメの出来は上々だったということで、コメの安定供給にも期待が高まります。
(中部電力 事業創造本部 山田倫章 部長)
「(水を張らない米作りを)採用する農業事業者が増えることで、長期的にみれば 貢献できる可能性はあると思う」
ことし収穫したコメは飲食店などへの販売が検討されているということです。