「ボトルシップ」はどうやって作る? 瓶の中で無数の紐を操り部品を組み立てる驚異の技術!
インテリアとして見かけることもあるボトルシップは、どうやって作られているかご存知ですか? 瓶の中という限られたスペースの中で作り上げられるボトルシップの全貌をお届けします。
●ボトルシップの作り方の秘密
ボトルシップとは、継ぎ目のない瓶の中に、まるで手品のように帆船を入れた模型のこと。そこにタネも仕掛けもなく、ただ実直に瓶の中で組み立てられているのが、ボトルシップの真実です。
まず船模型を入れるための瓶を決めます。決まったら実物大の設計図を用意して、ボトルシップの制作手順をシミュレーションしておきます。
瓶の注ぎ口は約18ミリ。その幅を通るサイズに分割されたパーツを中に入れて、瓶の中で組み上げます。
製作に使う工具はすべて手作り。さまざまな形状の瓶に対応するために、先端を曲げて角度を細かく調整することもできます。
●船体を組み立てる
理屈は分かっても、対策せずに瓶内で組み立てることは非常に困難。瓶内だけでなく、瓶“外”からも、パーツの角度や位置を導く手段が重要です。
組み合わせるパーツにガイドとなる糸を通しておくことで、瓶の中でパーツが暴れることを防ぎ、前後・上下・左右を手早く合わせることができます。
パーツの貼り合わせは接着剤。瓶の内側に接着剤が付かないように慎重に進めます。
パーツを貼り合わせたらガイドにしていた糸は邪魔になるので切ってしまいます。専用工具の先端にデザインナイフの刃を括り付けたものでカット。
船体の上部を取り付けます。一見、瓶の中に入らないのではないかと思いますが、帆の部分は布製なので、畳んでコンパクトにすれば入れ込むことができます。
ここまで作業が完了したら、いったん手を止めます。接着剤を充分に乾かさないと組み立て作業でパーツがバラバラになる恐れがあるからです。
●船のメインマストを立て、完成へ
次に船の顔であるメインマストの取り付けです。柱を船体に取り付けるだけでなく、無数の紐を限られた空間の中で船体にくっつける繊細な作業が求められます。
瓶に入れる前に、あらかじめ紐を取り付ける位置ごとに分けておきます。
狭い入り口にメインマストを知恵の輪のように入れ込みます。この作業の具合によって分けておいた紐が絡まることも多々あるので、このあたりはスムーズにいくように神頼みするしかありません。
メインマストはまっすぐ立ったら作業を終えて、接着剤が固まるのを待ちます。そのまま続けると紐を張ったときにメインマストが抜けてしまう恐れがあるのです。
紐を船体のフックに引っ掛けます。ちなみにフックはホッチキスの歯で作ったもの。作業はかぎ爪のような独自の工具で行います。
紐がフックにつけられたら、余分な糸を切り取ります。非常に繊細で集中力の問われる作業。このキットではこれを30本行います。
ボトルシップ製作に慣れている方でも、紐の取り付けは日に数本が限界だとか。焦らずコツコツ進めていくのが完成への近道です。
こうして出来上がったボトルシップがコチラ。パーツ同士のつなぎ目などは目立たず、瓶の中で組み上げられたとは思えない出来映えです。
集中力やテクニック、そして特殊な作業への慣れが重要となってくるボトルシップ。今回紹介した作り方は完全分解タイプですが、ある程度作ってから瓶に入れて、その中でパーツの位置調整をして仕上げる「引き起こしタイプ」と呼ばれる商品もあります。そちらでまずは限られたスペースの中で作業を行う工程に慣れてみて、本格的なボトルシップ製作に挑戦してみてはいかがでしょうか。