90年以上前のビンテージバイクに魅了された男 トライアンフにハーレーも乗りこなす!
古き良き時代を感じさせるエンジン音やシンプルな造形などで、高い支持を得ているビンテージバイク。またビンテージバイクには現在のバイクにはない個性が強く、各メーカーから名車といわれるモデルも数多く誕生しました。
この記事ではビンテージバイクをこよなく愛する、ひとりの男性に密着します。
●90年以上前のビンテージバイク
ビンテージバイクの定義は諸説ありますが、一般的には1960年代以前に製造され、生産終了になったバイクを指します。最初に登場したビンテージバイクは、イギリスの名門であるトライアンフの1925年式MODEL SD型です。
MODEL SD型は1920年に誕生し、550cc空冷単気筒エンジンと3速マニュアルミッションを組み合わせています。また、MODEL SD型はいまのバイクとは違いウインカーが装備されていないため、右左折は手信号にて行います。
ほかにもアクセルスロットルがなく、代わりに右手の2本のレバーで空気とガソリンをキャブレターに送り、左手のレバーで点火タイミングを調整して運転するスタイルです。
●トライアンフをレストア
約100年前のトライアンフは近年のバイクに比べるとシンプルな構造ですが、当然トラブルフリーというわけにはいきません。トライアンフ MODEL SD型のスピードメーターは、前輪に取り付けられたギアとチェーンを介してメーターに伝えられる仕組みとなっています。
古い個体ということもあって、ギアがすり減りやすく上手くかみ合わないことも。そのためマメなメンテナンスが必須で手間はかかりますが、調子が良くなった喜びは何事にも代えがたい気持ちになります。
●仲間とのツーリング
これからビンテージバイク仲間と出かけますが、トライアンフ MODEL SD型にはいまのバイクにはない儀式が必要になります。
それはエンジンの始動で、当然セルモーターのないMODEL SD型は何度もキックしますが、なかなかエンジンがかかってくれません。そして、ようやくエンジンがかかり出発、単気筒エンジンのビンテージバイクならではの小気味いいエンジン音が周囲にこだまします。
そして、今回のビンテージツーリングは、アメリカの世界的に知られるアイコンブランドのハーレーダビッドソンの集い。加藤さんも別のビンテージバイクである、1929年式ハーレーダビッドソンJD型で出発します。
●ビンテージバイクの注意点
ビンテージバイクのツーリングにおいて、気をつけていても起こってしまうのが出先でのトラブルです。加藤さん曰く、当番制で誰かが必ずトラブルに見舞われるのだとか。今回は、加藤さんが所有するハーレーダビッドソンのエンジンの吹け上りが悪くなります。
原因はエンジンオイルの量が100㏄多いことと判明し、すぐさまオイルの量を減らしプラグを交換することで難を逃れます。
出発し快調なツーリングを堪能していますが、欠かせないのが移動先での小休止。ビンテージバイクは熱に弱くて長距離走行は不向きのため、ツーリングの際は温度計を持ち歩きこまめに温度を計測します。
特に古い年式だとエンジン温度は200度を超えることもあるようで、いたわりながらの走行になります。
またビンテージバイクはライトの光量が弱いため、明るいうちに帰路に着くそうです。壊れやすく、手間もかかるけどビンテージバイクに触れている時間が加藤さんにとって極上ライフ。
加藤さんいわく、戦前のバイクが戦禍を逃れて当時の状態で残っていることに意味を感じ、受け継ぎながら次につなげたいという思いがあるそうです。