一冊のノートがつないだ味。豊橋の人気店「キッチン山田農園」のスパイスカレーと感動の物語
豊橋の人気店「キッチン山田農園」には、早朝から多くのお客さんが集まっています。お目当ては、朝から味わえる本格スパイスカレー。市場で働く人たちの一日を支え、家族の思いとともに受け継がれてきたこの店の味。そのおいしさの裏にある、心温まる物語をご紹介します。
常連さんや市場関係者に愛される朝カレー

多くのお客さんが早朝より食べにくるカレーモーニング
茶碗サイズのカレーにサラダ、ゆで卵、コーヒーが付いたモーニングは650円とお値打ち。大きな焼豚を豪快にのせた「やきぶたドーンとチーズカレー」や、ジャンボチキンカツ2枚をのせた「チキンカツカレー」など、食べ応え抜群のメニューも人気です。

カツもサクサクで、カレーと相性抜群!ボリュームもあり
店があるのは豊橋魚市場の一角。そのため、仕入れに訪れる市場関係者や飲食店のプロたちが、朝食代わりに立ち寄るのが日常の風景になっています。野菜の旨みがたっぷり溶け込んだカレーは、初めて食べた人も思わず感動する味です。
家族の夢が込められた店名

隆さんのこだわりと息子さんの夢が詰まった店名に決定
この店を10年前に開いたのは、長年「自分の店を持ちたい」と夢見ていた夫の隆さん。
「キッチン」という言葉を店名に入れたいという思いに加え、農業に携わる息子さんが将来育てた野菜を使い、レストランと農業を両立させたい――そんな家族の夢から、「キッチン山田農園」という名前が生まれました。
味を未来へつなぐ一冊のノート

家族の絆!隆さんの味を奥さんと息子さんで受け継ぐ
隆さんが情熱を注いできたスパイスカレーは、お客さんの顔を見ながら一人で丁寧に作り続けてきた看板メニュー。しかし4年前に病を患い、店を続けることが難しくなりました。
そのとき「自分が継ぐ」と手を挙げたのが息子さん。飲食経験のない奥さんと息子さんに、隆さんは体力の続く限りレシピと技術を伝えました。

教わった内容に、加筆をしながらスパイスカレーのレシピノートが完成
さらに奥さんは、夫の味を未来へ残そうと、調理の手順や分量を一冊のノートに丁寧に書き留めました。何度も読み返しながら作り続けるうちに、その内容は今ではほとんど頭の中に刻み込まれているそうです。
4時間かけて仕込む特製スパイスカレー

キツネ色でもなく、クマ色でもなく、タヌキ色がポイント!
ノートをもとに行うカレーの仕込みには約4時間。シナモンなどのスパイスを炒め、玉ねぎを「キツネ色でもクマ色でもない、タヌキ色」になるまでじっくり炒めます。

まろやかな美味しさのカレーにするための一工夫も
そこへ10種類以上のスパイスと、10種類の野菜や果物を加えて煮込み、なめらかなピューレ状に。さらに2種類のだしと、とろとろにした野菜を合わせれば、隆さん直伝のスパイスカレーが完成します。
父の想いを受け継いだ一杯のラーメン

野菜の旨みを主役にした絶品ラーメンも振る舞われる
受け継がれた味はカレーだけではありません。息子さんが作り上げるラーメンも、市場で働く人たちに評判の一杯です。
父と一緒に約1年かけて完成させたものの、商品化する前に隆さんは逝去しました。「この味を出し続けたい」という想いで提供を始めたラーメンは、600円という良心的な価格ながら、野菜の旨みが凝縮したこだわりのスープが魅力です。

この一杯が欠かせないとオーダーする常連客も多い
父の味と想いを受け継いだ奥さんと息子さん。家族の絆が詰まった料理を求めて、今日も朝早くから多くのお客さんが訪れています。