
中学生が“説得”で詐欺被害防止 SNSを使った詐欺を防ぐには「周囲の声がけ」がカギ

名古屋市内の中学生が詐欺にだまされかけた女性を説得し、被害を防ぎました。急増する、SNSを使った詐欺を防ぐには周囲の声がけがカギとなります。

4月30日、詐欺を未然に防いだと感謝状を贈られたのは、名古屋市緑区の中学3年生・篠田一瑳さんです。
篠田さんが防いだのは「SNS型ロマンス詐欺」です。SNSで知り合った人に恋愛感情などを抱かせ、金銭などをだまし取る手口の詐欺で、ここ最近、被害が急増しています。

今年1月から3月までに愛知県警が認知しただけでも、被害総額は約4億5000万円を超え、去年の同じ時期に比べ、11倍以上となっています。
どうすれば防げるのか。篠田さんに話を聞くと、大切なことが見えてきました。

若原いぶき記者:「篠田君はメッセージの“ある”やりとりを見て、詐欺だと気づいたんです」
先月、志望する高校への通学路を確認していた篠田さんは、駅で知らない50代の女性に声をかけられました。
篠田一瑳さん:
「なんか探している感じ。キョロキョロと改札の方を注目していた。携帯をずっと触っているのがちょっと不自然」

「SNSで知り合った人と待ち合わせをしている」と話す女性に、スマートフォンを見せてほしいと頼むと、「テルアキ」を名乗る男からの「俳優をやっていて、舞台のチケットを買ってほしい」「コンビニでギフトカードを買ってほしい」というメッセージが残されていました。

篠田さん:「知らない人から急に一方的にメールが来たって、会ったことがないっていうのはすごく怪しいなと」
Q.相手は詐欺だと言われて
篠田さん:「えーって感じでした。だいぶ衝撃を受けている感じでした」

説得には、10分ほどかかったそうですが、一緒に警察署に行き、警察官から説明を受けると、女性も状況を理解したと言います。
瑞穂警察署 浅田大一 署長:
「本当にロマンス詐欺って、(相手を)信じ込んでいるから、そこを説得して、ここまで連れてくる労力はすごく大変」
警察によると、SNSを使った詐欺では、相手との間に信頼関係のようなつながりがうまれやすく、何度も金品を請求され、被害にあってからしか、相談しないケースが多いといいます。

瑞穂警察署 生活安全課 柏本健太 課長:
「中高生の方がSNSの利用者が多いと思いますので、なにかおかしいなと気づくのは若者の方が多いかもしれません」
詐欺の手口を理解し、粘り強く説得したことで、被害を防いだ中学生の姿から、だまされている人に気づいてもらうために、必要な行動が見えました。