火災共済金を詐取か、放火容疑の3人を再逮捕 リフォーム依頼受けた業者が怒り「本当に残念、腹立たしい」

岐阜県飛騨市の住宅に放火したとして、男3人が逮捕された事件。1日、詐欺の容疑で3人が再逮捕されました。狙いは「共済金」だったとみられます。
激しい炎に包まれる住宅。炎は、住宅の敷地を越え、道路に飛び出るほどの勢いだったといいます。
「ちょっと近くまで行ってみたけど、熱くてとても近づけないような火でした」(火事を目撃した人)
2022年8月。岐阜県飛騨市で起きた木造住宅が全焼する火事。約3年が経ち、放火事件に。さらには火災共済金をめぐる詐欺事件に発展しました。
1日、詐欺の疑いで再逮捕されたのは、稲葉寛容疑者(57)、兄の一夫容疑者(68)、元保険調査員の深町優将容疑者(54)です。
警察によりますと3人は2022年、飛騨市の住宅が焼けたことについて、飛騨市内の協同組合から共済金など約7300万円をだまし取った疑いがもたれています。
3人はこの住宅に火をつけて全焼させた疑いで、9月に逮捕されています。
放火されたとみられるこの住宅。一夫容疑者が火事の3カ月ほど前に購入し、リフォームを進めていたといいます。
警察は、いずれの容疑についても、それぞれの認否を明らかにしていませんが、3人が共済金の受け取りを目的に住宅に火をつけたとして調べを進めています。
容疑者からリフォーム工事の依頼

「本当に残念ですし、腹立たしい」
怒りをにじませながら話すのは、飛騨市で住宅のリフォーム工事を請け負う、溝口祐次さん。
溝口さんは、稲葉一夫容疑者から依頼を受けて火事が発生した時期に、住宅のリフォーム工事を行っていたといいます。
一夫容疑者から依頼を受けたのは、2022年6月下旬ごろ。火事があった8月には、新しい床を貼る作業をしていました。数日で終わる簡易的な工事だったといいます。
「25万5000円の工事。10万円くらいの手付金を先にもらっていたが、工事が完成できなかったということで、火災の後に10万円返し、さらにお見舞金という形で5万円渡した」(溝口祐次さん)
溝口さんは、主に一夫容疑者本人とやりとりをしていました。
「ずっとやりとりをしていました。着工前はすごく気前のいい方だなという思いがあった」(溝口さん)
容疑者は「飛騨で余生を送りたい」とメール

そして火事が起き、リフォーム工事は中止に。
溝口さんは焼けた柱が道路などに倒れないようにするなど、火事の後処理の工事も依頼を受けましたが、その費用が半年にわたって支払われなかったといいます。
「保険金は支払われているという話は伺ったので、お金はあるのにどうして払ってくれないんだろうという疑問がずっとあった。そのころから詐欺なんじゃないかなという思いはありました」(溝口さん)
一夫容疑者と溝口さんとのメールのやり取りでは、住宅が全焼した事について、こう記されていたといいます。
「一生飛騨の自然に囲まれて、将来の余生を送りたいと考えていた気持ちがわかりますか?」(一夫容疑者)
その文面は、本心だったのでしょうか――。
再逮捕された3人のうち、稲葉寛容疑者と深町容疑者の2人は、過去に起きた岡山県と青森県の放火事件をめぐり、別の人物と共に立件されています。
警察は、寛容疑者と深町容疑者が火事による保険金を目的に、メンバーを変えながら犯行を繰り返した可能性があるとみて捜査を進めています。