入店時は“顔認証”で万引き防止…『夜間無人営業』で売上がアップした書店 本と24時間出会える体験も魅力に

　愛知県を中心に展開する三洋堂書店は、夜間に無人で営業する24時間営業の導入を始めています。より多くの人々に本との出会いを提供し、売上アップにもつながっているといいます。

■「ふらっと行ける」24時間営業の魅力

　碧南市にある「三洋堂書店 碧南店」では、夜9時になると店員がすべて帰宅し、無人営業となります。2024年9月から24時間営業を始め、午後9時から午前9時までは店員がいません。

午後9時半、がらんとなった店内で、本を手に取って吟味する客がいました。 会社員の男性： 「ご飯も9時に食べ終わって、ちょっとそこから探したい本があったので。仕事が終わるのが遅かったりしますし、誰もいない本屋ってすごく新鮮だなと思って来ちゃいます」

24時間営業は「仕事が遅くなってもふらっと行ける」と好評で、碧南店の売上は、無人営業の時間帯がおよそ1割を占めるようになりました。 三洋堂HDの加藤正康業態開発室長： 「（碧南店は）無人営業を導入してから、前年同月より多く売った月が、10カ月のうち7カ月。他の店だとないような良い数字が出ています」

■いつでも本との出会いを…「顔認証」で万引き防止

　無人営業で心配なのが、万引きなど犯罪のリスクです。万引きを抑止するために、店の入口には顔認証システムが設置されました。客はここで顔写真を撮らないと中へ入れません。

この日の夜は雨が降り続いていましたが、客が次々と訪れます。ゲームの攻略本と漫画あわせて6冊をまとめ買いした客は…。 会社員の男性： 「やっぱ夜はすごいですね。物欲が高まっちゃいますね。このあと読んでから寝ます」

午後10時半を回り、心理学の本が並ぶ一角で足を止めた1人の女性は、もっと楽しく会話したいと思い立って、急きょ夜に来店したといいます。 自営業の女性： 「人との会話をちょっと学びたいなと思っていて。もともとすごく人見知りだったんですけど」 女性が選んだ本は『本音を見抜く心理学』です。

自営業の女性： 「学んだことを人との会話で実践に移して、相手も幸せになって…という連鎖が生まれればいいなと思っています。（Q.その先のゴールは？）すごい莫大なんですけど、『世界平和』を望んでいます」 24時間営業は、様々な本とのリアルな出会いを提供してくれます。 三洋堂HDの加藤正康業態開発室長： 「無人営業を駆使して、本屋を残していきたいと思っています。本との出会いを体感できるのが、リアルな本屋の良さだと思っているので」