全国の最低賃金1055円はどこまで上がるのか「上げながら良い経済循環をつくる」必要性を専門家が指摘

厚生労働省の諮問機関が、2025年10月から適用予定の最低賃金の目安について議論していて、その目安が間もなく発表されます。物価上昇分をカバーできる賃金の上昇は、実現するのでしょうか?
Q あなたの時給を教えてください。
20代男性:
「今は、駅の清掃をやっている1100円」
20代女性:
「時給換算とかは分からないけど月23万とかコンビニは高いので買わない。なるべく自炊はするようにしている」
最低賃金は、厚生労働省の諮問機関が7月下旬から8月上旬に、最低賃金の目安を提示します。その目安を参考に、今後、都道府県ごとの地方審議会が、それぞれの金額を決め、2025年10月以降に最低賃金が決まります。
賃金を上げながら良い経済循環をつくっていけるか?
今の最低賃金は、愛知県で1時間1077円で全国平均は1時間1055円です。石破政権は、最低賃金の全国平均を2020年代に1500円とする目標を掲げています。その目標を達成させるためには、今後2029年までの5回の改定で、平均90円近く値上げする必要があります。どのぐらいの時給アップが望ましいか、街の人に聞いてみると。
20代男性:
「1200円ぐらいなら(生活が)大丈夫だと思う。北海道とか遠く旅行に行きたい」
20代男性:
「単純にいくら上がってほしいとかじゃなくて時給があがってほしい。歴史が好きなので、京都とか歴史文化に触れられるところに行きたい」
ただ賃金を上げ過ぎると”反作用”も起こりうると専門家は指摘します。
しゅふJOB総研・川上敬太郎さん:
「企業側としてはすでに物価高でコストはかなり圧迫されていて、利益自体かなり厳しくなっている。状況に中で人件費も上がっている中で、(最低賃金を)引き上げるとなると余計厳しい。それだけ利益圧迫されると最悪の場合、倒産する可能性も出てくる。最低賃金の引き上げがあったときに、それに見合った形の付加価値、業績をきちんと上げられるような商品やサービスの価値を上げて、その分価格もしっかり上げて、賃金も上げる。そういう取り組みが必要」
川上さんは賃金と物価の上昇のバランスが大切だと訴えます。
しゅふJOB総研・川上敬太郎さん:
「(最低賃金を)上げることは必要だと思うが、上げすぎてしまうことの弊害を踏まえて、『えいやー!』でドーンと上げるよりは、慎重に案配をみて上げていかないといけない。大事なのは一時的に上げる上げないというよりは、上げながら良い経済循環をつくっていくこと。その頃合いをうまく見ていきながら上げていくこと」