
漁師「白いダイヤとは言いづらい…」減少傾向だったシラスウナギに“異変” 2025年は豊漁も価格は“暴落”


近年、漁獲量が減少しているシラスウナギは「白いダイヤ」とも言われ、うな丼などの価格高騰にもつながっています。2025年はシラスウナギが一転、豊漁となっていますが、漁師たちにとっては、必ずしも喜ばしいことではないようです。
■「白いダイヤ」が一転… 豊漁で“価格暴落”
春分の日の3月20日、岐阜県各務原市にある世界最大級の淡水魚の水族館「アクア・トトぎふ」は多くの家族連れでにぎわいました。 水槽には、まだまだ生態に謎が多い二ホンウナギが展示されています。日中は暗い場所を好むため、土管の中に入ってしまうことが多いそうですが、この日は、ウネウネと体を動かし泳ぐ姿も見られました。

ウナギは岐阜県内でも獲ることができます。 海津市南濃町を流れる揖斐川の支流「津屋川」では夜になると、川の両側がライトで照らされ、網を持った漁師たちが水中をのぞき込んでいます。

漁師の伊藤さん: 「分かるかな。2匹いたね。うねうねしとるね」 にょろにょろと動く透明な生き物はウナギの稚魚、シラスウナギです。

養鰻場で育てられ「うなぎ」として出荷されるシラスウナギは、2024年まで不漁が続いていましたが、2025年は一転、豊漁となっています。 伊藤さん: 「100匹以上は取れましたね。多いですね、今年は。元気いいですよ」 海津市の漁協によりますと、2025年は2月末までの漁獲量はおよそ8キロほどで、前年の2月から4月の1シーズンで獲れたおよそ5キロを上回るペースです。

しかし、「白いダイヤ」とも呼ばれるシラスウナギの市場価格は、豊漁の影響で例年の15分の1の価格で買い取られているといいます。 伊藤さん: 「(白いダイヤとは)言いづらいわね。あまりにも安すぎるわね。まぁ安くてもたくさんおる方が楽しいわ」
■物価高が続く中…「うな丼」 値下げに期待の声も
東海地方に3店舗を構える「うなぎ屋たむろ」は、愛知県西尾市一色町から仕入れたうなぎを、火力にもこだわり丁寧に焼き上げています。 シラスウナギの高騰に加え、電気代のほか米や漬物などの価格も高騰し、うな丼定食はおよそ2年前と比べて700円ほど値上げしています。

うなぎ屋たむろの担当者: 「基本的にはウナギがメインですけれども、最近ではお米とか油関係、いろいろなものが値上げになっておりまして、その分、少し皆さまに負担をしていただいている状況になっております。心苦しく思ってはいるんですけれども」 豊漁でお客さんが期待するのは、うなぎの価格が下がることです。 客: 「うれしいです、それは言うことないね。これが1年の楽しみです」 別の客: 「いいですね。ちょっと回数を増やします」 うなぎ屋たむろの担当者: 「今は高くなってしまったんですけど、もうちょっと気軽に食べられるような、皆さんに普通に来ていただけるようなお店になっていくといいなと期待しております」 漁獲量が減少傾向にあったシラスウナギは、なぜ豊漁になったとみられるのでしょうか。 アクア・トトぎふの飼育スタッフ: 「ウナギという魚は海で産卵をする。マリアナ海溝の近くで卵を産んでいるのではないかと考えられています。黒潮の流れに乗ってくるんですけれど、その黒潮が陸の近くを流れていると、ウナギの赤ちゃんが川に入る数が増えるのかもしれませんね」

アクア・トトぎふの飼育スタッフ: 「ウナギは絶滅危惧種として皆さんで守っていくべき魚ですので、今年のようにシラスウナギがたくさん取れるということはとても嬉しいことですね」