
0.5ミリの的を撃ち抜く凄腕スナイパーは女子高校生!? 驚異の集中力と分析力で3年後のロス五輪出場を目指す【ライフル射撃・石田紬葵選手】

わずか0.5ミリの的を撃ち抜く、驚異の精密さと集中力。高校生ながら日本代表として世界の舞台で戦う17歳の女子高生スナイパーがいます。知られざるオリンピック種目「10mエアライフル」と、未来の日本代表を担う若きスナイパーを取材しました。
“0.5ミリの的”“動けないウエア” 「10mエアライフル」ってどんな競技?

凄腕スナイパーがいるというのは、岐阜県岐阜市の済美高校。校舎に入ってみると、ライフルを構えて10メートル先の的を狙う女子生徒の姿がありました。
彼女こそが女子高校生スナイパー、高校3年生の石田紬葵(つむぎ)選手です。
石田選手が行っているのはオリンピック種目の10mエアライフル。日本の競技人口は約1万人です。
高校2年生のときにインターハイ(個人・団体)で日本一になると、ジュニアでは数々の大会で優勝。さらに、今年6月にドイツで行われたワールドカップで日本代表メンバーに選出され、最年少ながら日本チームの中で一番の得点をたたき出した、将来期待大の凄腕スナイパーなのです。

学校では弾丸を使わないビームライフルで練習しています。
重さ約5キロのライフルで狙うのは10メートル先の的です。500円玉ほどの大きさしかない的の中心に描かれた、直径0.5ミリの白い点。これを“10点圏”といい、この中でも点数が10.0~10.9(ど真ん中)の10段階に分かれています。

エアライフルは0.1ミリを争う繊細なスポーツ。装着するウエアも特殊なもののようです。
ライフル射撃 石田紬葵選手(17):
「これは革でできていて、軟らかい部分と硬い部分があります。体を安定させるために着ています」
実際に着てみるとかなり窮屈。腕を後ろに回すことはできず、しゃがむことも難しいほどです。

このウエアを着た状態で撃つところを見せてもらうと…いとも簡単に10点台をたたき出した石田選手。
10mエアライフルは、1発撃って終わりではなく、1時間15分の間に60発撃ち、合計点を競うスポーツ。1時間以上集中し続けなければなりません。そのため、こんな意識も…
ライフル射撃 石田紬葵選手(17):
「一定のリズムで60発同じことを繰り返す。呼吸も同じ回数にしていて、“呼吸する” “のぞく” “撃った後のフォロースルー”という一連の流れを繰り返すこと」
さらに、試合の前日は脂っこいものは避け、朝食も競技の2~3時間前には済ませるなど、集中力を維持するために食事にも気をつけているということです。
強さの秘訣! 細かすぎる“振り返りノート”でレベルアップ

小学6年生のとき、お母さんとライフル射撃の体験会に行き、その面白さに夢中になった石田選手。
実は強くなるため欠かさず続けてきた、あるルーティンがありました。
ライフル射撃 石田紬葵選手(17):
「毎回、試合のときに振り返りノートを書く。それを見て反省して次に生かすことができたので、うまくなっていると思います」
中学3年生の頃から、試合や練習であったことを欠かさずノートに書いて、自己分析しているのです。そのノートを見せてもらうと、事細かに綺麗な文字でビッシリと反省が。

この石田選手の分析力は、監督も高く評価しています。
済美高校・射撃部 松巾亜由監督:
「本当に細かくメンタル面から技術面まで分析をしているので、同じ失敗を繰り返すことがなくて、常に何かレベルアップしている状態になっています」
遠征のときには必ず過去4年分のノートを全て持参し、読み返して試合に臨んでいるといいます。そんな石田選手の夢は…
ライフル射撃 石田紬葵選手(17):
「3年後のロサンゼルスオリンピックに出場することです」
まずは今年11月に行われる全日本選手権で優勝を目指すという石田選手。集中力を研ぎ澄ませて、オリンピックまでの道のりを歩んでいきます。今後の活躍に注目です!