
水泳とスキーの二刀流 家族の支えを背にパラリンピックを目指す15歳 新美想真選手の挑戦

夏と冬の異なる競技でパラリンピックを目指す愛知の15歳、その裏には家族の支えがありました。

愛知県、半田市のとある中学校。
タブレットを手に、授業を受ける中学3年生。
クラスの人気者、新美想真選手。
実は彼、パラスポーツの二刀流アスリートなんです。
「両方の競技でメダルを取りたい」

パラ水泳の全国大会に3年連続で出場。さらに――
片足で滑るパラアルペンスキーでは、日本代表チームの育成選手に選ばれるなど、夏と冬、ふたつの競技で今後の活躍が期待される逸材です。
「(目標は)スキーと水泳で両方ともパラリンピックに出ること。両方の競技でメダルを取りたい」(愛知・半田市出身 新美想真選手)
生まれつき、右足と右手の一部の骨や指がない新美選手。
「今は思わないけど、いっぱい見られたりすると嫌だというか、見られたり言われたりするのが嫌だったのを覚えている」(新美選手)
気持ちを前向きに変えてくれたのが、母・華絵さんの言葉でした。
「お母さんに『自分の体は自分の体なんだよ』と言われたのは励まされた」(新美選手)
「自分の体を嫌いになって欲しくなかったのと、自信を持って欲しかった。別に足がないからといって恥ずかしがることじゃないし、堂々と生きていってほしい」(母・華絵さん)
特別な思いが込められた「2030」

支えとなっているのは、母だけではありません。
「スキー行くときに4時間半くらいかかるけど、(息子は)大体4時間くらい寝てる」(父・祥太さん)
「うん」(新美選手)
「着いたらスキー場みたいな」(父・祥太さん)
父・祥太さんはスキー場や水泳の遠征先まで、長距離を運転。
「(全国)各地を回ると、泊まらないといけない機会がすごく多くて」(父・祥太さん)
移動が多い新美選手のために、ハイエースを購入し改造。
いつでも寝られるよう、後部座席にベッドを備えました。
「寝心地がいいのでありがたい。ホテルに泊まる時に、荷物とかを持っていったりするのが面倒だったので、ここだと車を止めたら後ろに行くだけなので楽なのかな」(新美選手)
車のナンバープレートは「2030」。特別な思いが込められています。
「冬季オリンピック・パラリンピックが2026年にあって、次の2030年を目指して頑張っていきたいという思いを込めて、このナンバーにさせてもらいました」(父・祥太さん)
持ち味は、ぶれない泳ぎ

家族の支えを背に、二刀流に挑戦する15歳。
スキーのオフシーズンの今は、ほぼ毎日スイミングスクールで練習。
1日2時間、パラ選手ではたった1人、健常者に交じり腕を磨いています。
さらに学校でも、水泳部に所属。
スクールの練習に加え、週3回の部活動に参加しています。
「水泳部に入った理由は、水泳が好きだから」(新美選手)
「(新美選手は)雲の上の存在って感じはするので、そんな人が近くにいるのは知らなかったというか、思ってもいなかったのですごい」(水泳部の同級生)
得意種目は自由形。持ち味は、ぶれない泳ぎです。
水泳より前から始めたスキーが、功を奏してると言います。
「スキーは片足で立っているので、体幹とか鍛えられている。足の筋肉とかも鍛えられて、キックにつながっている」(新美選手)
日本最高峰の大会に挑む

9月、練習の成果を試す絶好の舞台。
地元・愛知で開かれた日本最高峰の大会に挑みました。
「おはようございます」(新美選手)
Q.緊張している
「少し緊張しています」(新美選手)
9月13日、名古屋市で行われた水泳のジャパンパラ競技大会。
新美選手が出場したのは、400m自由形。
パラ水泳は障害の重度によってクラスが分かれているため、新美選手のカテゴリーはたった1人。他のクラスの選手と泳ぎます。
目標は、自己ベストの更新。
「いっぱい考えると混乱しちゃうので、ペース配分とかを考えながら泳いだ」(新美選手)
父・祥太さんもラップタイムを測りながら見守ります。
会心の泳ぎを見せる

スキーで鍛えてきた体幹で、ぶれない泳ぎを見せる新美選手。
結果は、自己ベストを27秒も更新!
地元で開かれた大舞台で、会心の泳ぎを見せました。
「(自己ベストを)大幅に更新できて、練習の成果がいつも以上に出てうれしかった。久しぶりに鳥肌が立つくらいうれしかった」(父・祥太さん)
「練習してきてベストが出て、(家族に)喜んでもらえることはうれしい。人一倍頑張って練習とか積み重ねて、大会でいい結果を出す姿を見せたい」(新美選手)
夏と冬、二刀流でパラリンピック出場へ。15歳の挑戦はこれからも続きます。
(9月25日15:40~放送メ~テレ『ドデスカ+』じもスポ!コーナーより)