外科医の出前授業で小学生が手術や傷口の縫合を模擬体験 減少傾向にある外科医の仕事に興味を持って 名古屋

手術で治療をする「外科医」。その仕事を体験する授業が名古屋の小学校で行われました。背景には外科医を巡る「ある課題」が。
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きょう名古屋市東区の東桜小学校で開かれた出前授業。その講師を務めたのは手術で病気を治す外科医です。参加した5年生の児童たちは、実際に医師も使うシミュレーターで手術の体験をしたり、練習用のキットを使って傷口を針と糸で縫合する体験をしました。
この授業の狙いは外科医の仕事に興味を持ってもらうこと。児童からは早速こんな質問が。
(児童)
「医者になるためには、どうしたら良いですか?」
(そえだ腎・泌尿器科クリニック 副田雄也 院長)
「今はとにかく色んなことを体験したり、熱中することを大事にしてください。興味があったら、お父さん・お母さんと話したり、糸結びの練習をしたりして、ちょっとでも外科に興味を持ってもらえたら嬉しい」
外科医になろうという医師は減少傾向に
(児童)
「医者がそんなに頑張っているのだと驚いた」
「仕事を分かってくると、やっぱりお医者さんってすごいなと思った」
人の命を預かる大事な仕事。しかし外科医になろうという医師は減っているといいます。
自分の専門分野として外科医を選び研修を受ける医師の割合は減少傾向にあります。その理由について一宮西病院の外科医・岩本久幸医師は…
(一宮西病院 外科 岩本久幸 医長)
「立ち仕事(が中心)になって。医局にいたりデスクワークの時間は就業時間の数パーセントにとどまる」
患者さんからの「元気になったよ」という一言が
きょうも直腸がんの手術があるという岩本医師。その手術時間はスムーズに行っても約5時間です。外科医はこうした長時間の手術や夜間の呼び出しなどで体力が必要なことや「一人前になるのに10年かかる」と言われており、ハードルが高いと捉えられがちだといいます。
(一宮西病院 外科 岩本久幸 医長)
「地方の外科医の数を増やせなければ地方で手術を受けられない。特に夜間の緊急手術、救命の一番必要とされる場面で外科医の数が足りないと、たらい回しが起きる懸念が」
だからこそ、外科医の労働環境の改善はもちろん、やりがいを広く知ってもらう機会が必要だと話します。
(一宮西病院 外科 岩本久幸 医長)
「患者さんからの『ありがとう、元気になったよ』という一言で、自分も元気をもらえて、やりがいにつながっている。魅力を身近に伝える機会が、もっと増えたら」