トラック左折時の巻き込み事故を防げ AIカメラで死角をなくし事故「ゼロ」を目指す

名古屋に本社を置く企業が、毎年多く発生するトラックの左折時での巻き込み事故を防ぐシステムを開発しました。AIカメラを駆使し、事故「ゼロ」を目指します。
巻き込み防止装置のAIカメラを搭載

東海市にあるガソリンなどの石油製品を配送する会社「近畿石油輸送東海営業所」。車両に取り付けられているのは、巻き込み防止装置となるAIカメラです。このカメラは、車の左側に人が近づくと、検知します。

車両の左側に人が立ってみると、マークが赤く点灯して警告音が鳴りました。車内にはモニターがあり、人が赤く囲われています。実際に走行するとカメラが人を検知すると、「音」と「映像」で運転手に危険を知らせるシステムです。

運転手:
「このカメラがあることによって、死角がかなり軽減されます。あと音が鳴るんですよ。アラームが鳴るのでそこにちゃんと意識がいきます」
サイドミラーでの確認がしづらい

システムを開発したのは、名古屋市中区の「東海クラリオン」です。
東海クラリオン 営業統括本部
仲田 昌弘本部長:
「大型トラックの左折のところで、『ブザーで人を教えていただけるとありがたい』というお話しから着手しました」

2024年、全国の交差点でトラックと歩行者・自転車の事故は232件発生。そのうち4割近くが左折時に起きています。トラックは、運転席からサイドミラーでの確認がしづらく、左側は「死角」となります。
過剰検知が大きな課題に

東海クラリオンは、車のバックモニターを開発しており、映像のノウハウがありました。AI(人工知能)を使ったカメラシステムの開発をスタート。実用化に向けて一番課題となったのは、車両が動いているときに起こる過剰検知です。

東海クラリオン 営業統括本部
仲田本部長:
「止まっていたときは人と人じゃない物で区別はできたけど、動いていると全く人じゃない物にも人だと認識してしまうので、運転手さんから『これ鳴りすぎるから使い物にならないかも』という声もありました」

東海クラリオン 営業統括本部
仲田本部長:
「運送会社によっても『ここだけが絶対鳴る』というところがあるので、そこを学習させて鳴らなくさせるとか」
人の検知の精度を上げることを最優先に取り組みました。
「危ないのが、本当は人だったのに鳴らないことによって轢いてしまうこと。それは非常にまずいので、最終的に人に見えるようなフォルムだとか、そういった物を人として認識して鳴らそうというかたちにしました」

人の検知に多くの時間を費やし、開発から2年で実用化となりました。AIカメラは横幅は4.5メートル、縦幅が14メートルの範囲を検知できます。
国土交通省は3年前から、新型車として販売する車両総重量8トン以上のトラックに左折巻き込み防止装置の設置を義務付けました。現在約150社がこのシステムを導入しています。

東海クラリオンは今、別の車両のシステムの開発を進めています。
東海クラリオン 営業統括本部
仲田本部長:
「岐阜県と三重県のバス会社には実証実験を協力していただいており、右と左にAIカメラを付けて数台街中を走ったりしています。実際に今走っている車でまだまだ対応ができていない車に少しでも付けていただくところを目指して、多少でも負担を軽減できるものができたらな、というところで進めていきたいと考えています」





