
「長ズボンは本気の証」高校生ごみ拾い日本一を決める「スポGOMI甲子園2024・愛知県大会」

高校生ごみ拾い日本一を決める大会「スポGOMI甲子園2024・愛知県大会」が10月26日、名古屋市北区の名城公園で開かれました。愛知県内の高校から16チームが参加。海洋ごみ問題への気づきをテーマに、日本財団「海と日本プロジェクト」の一環として行われます。そんな「高校生ごみ拾い日本一」を目指し、スポGOMIに青春を捧げる高校生に密着しました。
スポGOMI甲子園のルールと戦略

「スポGOMI」とは、3人1組で決められたエリアのごみを拾い、その質と量を競う日本発祥のスポーツです。高校生向けの大会「スポGOMI甲子園」は2019年にスタート。全国40地域で予選大会が開催され、今回は831チームが参加しました。優勝チームは、12月1日(日)に、東京で開催される全国大会への出場が決まります。

愛知県大会の会場は「名城公園」。本部周辺と車道を挟んで北にある噴水や広場、フラワープラザ周辺の公園部分が競技エリアです。今大会には名古屋経済大学市邨高等学校の軟式野球部のチームや、猿投農林高校の男女混合チームなど計16チーム48人が参加しました。

中でも愛知商業高校「愛商ユネスコクラブ」チームの3人に密着! スポGOMI甲子園への思いを聞くと、「もちろん狙うは優勝! なるべく素早く動けるように、3人とも長ズボンにしました。本気ですよ!」と気合十分です。開会式やルール説明をひと通り終えたら、各チームに競技エリアのマップが配られました。ここからはスタートまでのわずかな時間を使って作戦を立てます。

愛知商業高校「愛商ユネスコクラブ」
チームリーダー 佐藤史奈さん:
「大会前に、3人で公園を回ったんですよ。そのときはスカートだったので、茂みの中が見られなくて。その教訓を活かしたのが“長ズボン”です」
小澤琴音さん:
「目立ったごみは落ちていなかったので、茂みの中や人が歩かない場所を中心に探します」

実は愛商ユネスコクラブは、手作りのごみ箱を持参していました。ごみ袋とトングを持つと手がふさがってしまいますが、ごみ箱を背負えば片手が空いて、効率よく競技を進められるそう。「仲間の箱にもごみを入れられるんですよ!」と笑顔で話します。
スポGOMI甲子園では愛商ユネスコクラブのように、ごみ拾いに使うごみ箱やトングなど、工夫を凝らした自作アイテムを使うことができます。しかも審査員の心をつかんだ自作アイテムには、ポイントが加算されるんです!

澤之向翔空さん:
「箱自体は段ボールですが、ベルトはシートベルトなんです。私たちは部活動で商品開発もしています。シートベルトが1日に300キロ廃棄されている問題を解決するために、バッグを作っていて。その端材をごみ箱のベルトに使いました」
公園の茂みや植え込みを突き進む

作戦会議も終え、いよいよスタート! 皆さん、散り散りになり競技エリアへごみ拾いに向かいました。愛商ユネスコクラブは事前に下見をしていた広場周辺に向かいつつ、足元に落ちているごみを拾っていきます。

佐藤さん:
「あれ? これセトモノじゃない? 土の中埋まっている……」

目的地周辺の広場に到着した3人。ようやくここから本格的にごみ拾い開始です。
澤之向さん:
「道沿いにはそんなにごみないけど。やっぱり茂みの中にはありそうだな」
佐藤さん:
「中に入ろっか。そのためにうちら長ズボンを履いてきたんだし」

次に向かった広場周辺の植え込みをのぞくと、テニスボールや発泡スチロールなどさまざまなごみが隠れていました! さらに植え込みにあったのはフリスビー。子どもたちも多く遊ぶ広場では、こういった遊び道具のごみも多く見つかりました。

拾ったごみはオリジナルアイテムの箱の中へ。まだまだ使えそうな立派な野球ボールも発見しました。場所を移動して新たな茂みの中へ突き進みます。

小澤さん:
「折れた傘も見つけた。これ何ポイントなんだろう?」
その後、時間も近づき制限時間内に本部へ戻ってごみをチェックします。
ごみ拾いが終了! 愛知県代表はどのチームに?

1時間のごみ拾いが終わり、分別を終えて競技が終了。結果発表が行われました。優勝は愛知県立猿投農林高等学校の「ベジタブルコンビ」です。
「不法投棄が想像以上に多かったのでごみに対する意識が高まりました。どんな茂みの中でも、くっつき虫をくっつけながら拾いに行ったのが勝因ですかね。全国大会は愛知県代表として優勝目指して頑張ります」と意気込みを語りました。
【愛知県大会 上位3チーム】
●第1位「ベジタブルコンビ」/重量8.71kg、781ポイント獲得
●第2位「一宮北高校K・K・K部」/重量4.94キログラム、696.5ポイント獲得
●第3位「Team Nenten」/重量3.12キログラム、401・5ポイント獲得

「愛知商ユネスコクラブ」は惜しくも3位以内には入れませんでしたが、なんと4位と大健闘! さらに彼女たちが作成したオリジナルアイテムが評価され、「オリジナルアイテム賞」を受賞しました。
気合十分の “長ズボン”と手作りのごみ箱を携えて挑んだ「愛知商ユネスコクラブ」のスポGOMI甲子園。悔しさをにじませながらも、次の大会を見据えています。

佐藤さん:
「4位という悔しい結果になりましたが、オリジナルアイテム賞をとれたから良かったです!」
澤之向さん:
「途中でごみ箱のベルトが壊れて焦りましたけど、全部含めて楽しかったです。また出たい!」
小澤さん:
「私たち1年生なので、来年はほかの部員も連れて参加したいです」