名古屋の“未完成道路” 相生山緑地の工事再開へ 河村前市長が中止し残り179mがそのままに… 広沢市長「緊急車両だけでなく一般車も通れるように」

11月21日の名古屋市議会本会議。就任1年を迎えた広沢市長からある政策が。
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相生山緑地を突っ切るように作られ、真ん中で途切れている道路。河村たかし前市長が中止した、この道路計画を復活させるというのです。
(名古屋市・広沢一郎市長・21日)
「“両方を満たす”という意味でいいのではないか。そういう判断です」
(名古屋市・河村たかし前市長 2014年)
「道路事業は廃止する。やはり自然を大事にしようと」
開発か環境かのせめぎ合いの末、一旦は止まった道路計画が、再び動き出そうとしています。
179メートルが残されたままだった
住宅街の真ん中にある相生山緑地には、1993年に道路建設が都市計画決定されました。しかし、「現地に群生するヒメボタルなど貴重な自然を守るべき」という市民団体の声が高まり、河村前市長が2010年に工事を中断。その後、学術検証委員会や市民アンケートなどを経て、2014年に正式に中止を発表したのです。
相生山には既に、東西から道路が合わせて700メートル余り完成していて、残り179メートルがそのまま残されていました。
中止が決まった後も、地元住民などから道路の完成を求める声は相次ぎ、河村市長も折衷案として、「山の斜面に沿って道路を作る」「トンネルを作る」「高架にする」という、自然にダメージをなるべく与えない3種類の工事を示し、緊急車両だけを通す「園路」の形で開通させる考えは示していました。
「緊急車両だけでなく一般車も通れるようにする」
ことし発表された、相生山の再開発ビジョンでは、点線で道路部分は完全に残されています。これは、道路の都市計画自体は廃止されていないからで、いつでも再開はできる状況だったとも言えます。
(広沢市長)
「緊急車両だけでなく一般車も通れるようにする。これがポイント。未開通部分は橋桁を用いて上を通す。極力ホタルが生息しているところに影響を与えないような運用をする」
広沢市長が採用を考えている工法は、高架を作る方式。しかし「緊急車両限定」という河村前市長の考えとは全く違い、一般道を作ろうという考えです。
道路ができれば時間の短縮に…
(藤井竜太郎記者 名古屋・天白区)
「名古屋市中心部から緑区へ向かう車は、現時点では交差点で左折もしくは右折で向かうしかありませんが、弥富相生山線が開通すれば直進でそのまま抜けることができます」
道路ができれば迂回せずにすみ時間の短縮につながると、地元住民の期待は高まっています。
(相生山緑地内 道路早期完成協議会・杉藤清行代表幹事)
「10年以上かかってここまで来て、我々も感動が湧き上がってきました」
Q.長かった?
「長かった」
長年、道路の早期開通を名古屋市に求めてきた、地元の杉藤清行さん。道路開通の要望に集めた地元住民の署名は、約7300人に上ります。
(杉藤さん)
「これまで大変だった。署名を集めたりチラシ配りをしたりして」
「事故を起こさないような安全性の面が一番大事」
相生山緑地に沿った道路は幅が狭いうえ、あさや夕方は主に通勤の車で渋滞し、学校へ向かう子どもの横を、車が猛スピードで走る事が心配だったと言います。
(杉藤さん)
「事故を起こさないような安全性の面が一番大事」
交通の利便性だけでなく、安全にもつながると強調します。
(杉藤さん)
「我々も高齢なので、とにかく早く、一刻も早く(工事を)やってほしい」





