
ドラゴンズ細川成也選手がホームラン量産 矢野燿大さんが注目した「ひざの位置の変化」

ドラゴンズは9月2日から7日までの6試合で、2勝4敗でした。元ドラゴンズで野球解説者の矢野燿大さんに、この6試合に登板したピッチャーと、いま好調の細川成也選手について分析してもらいました。

ドラゴンズは先週、2カード連続の負け越しでした。
矢野さん:
「いいところもあったんですけどね。勝てそうな試合もありましたし。6日の試合は、高橋宏斗投手が4点先制してもらって5回もたずですから、相当悔しい降板になったと思います。けれども高橋投手はそういう悔しさを力に変えていけるピッチャーだと思うので、こういう経験をプラスにしてほしい」
大野投手は連敗阻止率100%

ただ3日は大野雄大投手が3試合連続の白星でチームトップの9勝目を挙げました。また連敗を止めてくれましたね。
矢野さん:
「大野投手はいいですね。ベテランになっていくと体も変わったり、スピードも出なくなったり、いろいろ変化が起こってくるんです。大野投手を見ていたら、『昔のような速いボールを投げたい』という気持ちが絶対ある。でも変化を受け入れた中でピッチングスタイルを変えているんです」
「右バッターのアウトコースに落ちるボールとかツーシームが大野投手の得意なボールなんですが、バッターはもちろんマークしています。そこでインコースのストレートやカットの割合がかなり増えてきた。相手の裏をかいている。投げる時の手の位置も、今までよりちょっと下がっているかな。変えるって怖いんですけれど、今の大野投手は変える勇気がすごくいい方向にいっていると僕はみています」
松山投手のセーブ失敗の背景は

ただ6日、松山晋也投手が9回1点リードの場面で登板。今シーズン初のセーブ失敗となりました。矢野さんはその要因をどう考えますか。
矢野さん:
「責めるつもりはもちろんないし、松山投手はこれまで全力で頑張ってきてくれました。この試合、先頭バッターはすぐアウトを取りました。次のバッターがデッドボールで出ましたが、盗塁をアウトにしてくれてツーアウトになりました。ピッチャーはここですごく安心してホッとする。これが危ないんです」
「僕は現役時代、ツーアウト取ってから『もう1人だよ』とずっと言い続けた。ピッチャーがホッとするのは仕方がない。でもキャッチャーは一緒にホッとしちゃいけない。『もう1人』と言い続けることで、ピッチャーも『そうやった』と確認して投げてくれるようになると、こういうことが減ってくると思います。キャッチャーはホッとせず、わかっていても言い続けるということがとても大事です」
細川選手の好調の要因は

そして野手陣では細川成也選手が好調です。9月の成績は、3日と4日に2試合連続のスリーランホームラン、そして6日と7日も2試合連発。打率3割8分1厘でホームラン4本です。
矢野さん:
「けがで離脱して1軍にいない時もあったんですが、それでも後半にすごいペースで、3年連続のシーズン本塁打20本が見えてきましたね」
細川選手の好調の要因は何でしょう。
矢野さん:
「僕も何がいいのかなと思って見てみたんですけど、足の上げ方をちょっと変えたなと思います」
シーズン序盤と今の細川選手のバッティングフォームを比較してみましょう。
4月の細川選手は打率1割8分8厘で、少し苦しんだ時期でした。
矢野さん:
「体重移動がちょっと中途半端ですね」
現在は、足を上げる高さが違いますね。しかも上がってる時間が長い。
矢野さん:
「足が高く上がると、体重が乗りやすいんですね。しっかり右足に体重が乗ることができている。4月は右ひざがホームベース側に出ちゃっているけれど、今は後ろにおさまっている。ひざが前に出ていると、ほかのところも動いちゃうんです。ひざを後ろにすると、安定感が増してかちっとする。この状態で足を高く上げられているので、パワーがむちゃくちゃたまっている状態です。それで体重移動もしっかりできているので、ボールにも力が全部伝わって、ホームランにつながっているとみました」
CS進出のためのアドバイス

現在のセ・リーグの順位をみると、ドラゴンズは4位。3位のDeNAと3.5ゲーム差で、まだまだクライマックスシリーズ進出の可能性があります。
9日からドラゴンズはビジター7連戦、そのあとホーム5連戦となっています。正念場ですね。
矢野さん:
「ここからの1勝1敗はさらに大きくなります。5勝2敗でいきましょう」
矢野さんがいま井上監督の立場だったら、どんな言葉をかけますか?
矢野さん:
「僕は、今こそ自分たちがやることを言い続けたんです。『超積極的にいくよ』『あきらめるなよ、絶対』『誰かのためにというのをパワーに変えていくよ』と。相手は変えられませんが、自分たちがやることは決められるので、そっちを大事にしていこうと言い続けます」
1軍復帰の金丸投手にメッセージ

9日のヤクルト戦の予告先発は、松木平優太投手です。春のキャンプで右足首をけがしていましたが、今シーズン初登板となります。
10日と11日は金丸夢斗投手と涌井秀章投手の先発が予想されています。
金丸投手は8月24日以来2週間ぶりの1軍登板となりますが、どんなことを期待されますか。
矢野さん:
「2軍に落ちて、何か課題をもってやったと思います。スライダーと変化球はちょっとよくなったと思うのでそこを思い切り出して、2軍落ちした悔しさもぶつけてくれたら。ストレートはむちゃくちゃいい。残りの試合全部勝つぐらいの勢いでいってもらいたいなと思います」