
「苦しい今こそどらポジ!」 借金12のドラゴンズ…矢野燿大さんが語る「Aクラス浮上のポイント」

苦戦が続くドラゴンズ、 Aクラス浮上のポイントをドラゴンズOBの矢野燿大さんに聞きました。

ドラゴンズのこの1週間6試合を振り返ります。2勝4敗で、借金は今シーズンワーストの12になりました。
Q.リリーフ陣が踏ん張れずに負けてしまう試合が目立っているようです。
「2勝4敗は悔しい。15日と17日の2試合は勝てたので、4勝2敗にできた。松山晋也投手が戻ってきたけれど、中継ぎ陣がちょっと不安定になっているところが課題。ほかのメンバーが新しく出てきてほしいんですけど、あまりいない中で、清水達也投手とか藤嶋健人投手などが頑張ってくれることが必要だと思う。もう1人、今2軍で調整している橋本侑樹投手がいいところで活躍してくれているから、そういうピッチャーがもう1回、リフレッシュして戻ってきてくれるかがドラゴンズ浮上のカギを握っているんじゃないか。中継ぎ陣の頑張りが必要かなと思います。8月は疲れる時期なので仕方がないんですけど、ここからもう1回頑張ってもらいたい」(矢野さん)
高橋宏斗投手に「悔しい時ほど動ける選手に」

Q.そんな中、矢野さんが気になったシーンがあるとか。
「16日の試合は高橋宏斗投手が投げたんですが、3点目のタイムリーを打たれた。3点目を取られたくなかったのでがっくりきて、バックアップに行けていないんです。本来ならキャッチャーの後ろまでバックアップに行かないとだめなんですけど、がっくりきて動けなかった。ここで悪送球があったら、ランナーに次の塁に行かれてしまう」
「逆に、松葉貴大投手は、最近先発である程度いい投球ができている。全然勝てていなくて今めちゃくちゃ苦しい状況ですが、僕が見ている中では、ずっとしっかりバックアップに行っているんです。高橋投手はエースになっていくピッチャーですから、勝ち数でチームを引っ張るのはもちろんですが、『高橋ってやっぱりこういう時やるよね』とチームから信頼される、当たり前のレベルを上げていく、そういうところが必要だと思う。高橋投手は悔しい時こそ、動ける選手になってもらいたい」
藤浪投手対策「全員左打者スタメン」は?

そしてこの1週間には、こんなこともありました。17日のDeNA戦です。
DeNA先発の藤浪晋太郎投手の対策として、全員左バッターという異例のオーダーが組まれました。藤浪投手が右バッターへのデッドボールが多いことへの対策ということです。
Q.矢野さんはこのオーダーをどう考える?
「井上監督の立場としたら残り35試合、まだまだAクラスにいけるという中で、田中幹也選手や細川成也選手がけがをしたらやっぱり痛いので、この作戦は仕方がないんじゃないかなと思います。ただ一方で、相手から見た時には、右バッターを並べる方が多分嫌。これがシーズン最後の最後で勝たないとだめだという時になれば、右バッターを並べるということもあってもいいんじゃないか」
藤浪投手は勝ちはつかなかったものの、5回1失点で、ドラゴンズ打線が抑えられた形となりました。
キーマン上林誠知選手の好調の要因

矢野さんが後半戦のキーマンとして挙げた選手が、活躍を見せています。
上林誠知選手です。直近5試合の打率4割0分9厘、ホームラン2本、打点3。
Q.上林選手の活躍をどう見ていますか?
「めちゃくちゃいいです。また上がってきた。ちょっと状態が落ちていたが、初球からどんどん打てるっていうのは上林選手のいいところ。8月にちょっと状態が下がった時があった。その時に何試合かスタメンを外れました。上林選手は、崖っぷちからはい上がってきた男です。戦力外になったり、アキレス腱を切ったり。ずっと試合に出ているとちょっと忘れることがあるんです。でも客観的に試合に出られない自分を見た時に、『試合に出たい』とか『悔しい』とかいろんな思いがあって試合に戻っている。それをもう1回思い出すような時間になったんじゃないか」
Q.さらに上林選手のバッティングをよくするために、どんなことが大切?
「上林選手のいいところは積極性です。『振る勇気』はあるんです。でも『振らない勇気』もこれから必要になります。キャッチャーからすると『振る怖さ』はあるけれど、『振らない怖さ』がないんです。ボールゾーンで誘ったら上林選手は振ると思っている。それがピタッと振らなくなったら、『あれ、なんでこれを振らないの?』となり、カウントがどんどん有利になって、バッテリーも焦る。『振らない怖さ』『振らない勇気』が上林選手に出てきたら、シーズン打率3割、ホームラン30本というバッターになると思う」
Q.上林選手はバットコントロールが上手すぎて、凡打が出るという話も聞いたことがあるが?
「本当にそうです。上林選手はバットに当てれちゃうんです。イチロー選手もそうなんですけど、そこで客観的に『この場面では俺にはこういうボールが来る』とか『このボールは捨てられる』という判断ができると、打っちゃうところも我慢できるようになると思う」
現在5位…Aクラスへ巻き返すには

現在のセ・リーグの順位表。ドラゴンズは5位です。
Q.まだまだいけますか?
「もちろんいけます。大事にしたいのは今年のスローガン『どらポジ』です。前向きにいこう、挑戦しようという意味でつけていると思うんです。今、ドラゴンズはむちゃくちゃ苦しい時なんです。いい時は誰でもポジティブにいけるし、誰でも挑戦できる。今こそ、これをやるタイミングです。下を向いて野球をやるんじゃなくて、今こそ挑戦しようぜ、前向きに行こうぜって、そういう確認がチームに必要なんじゃないでしょうか」
(2025年8月19日放送 メ~テレ『ドデスカ!』より)
※高橋宏斗投手の「高」は正しくは「はしごだか」です。