
地中から穴が500以上ある巨大な巣が…オオスズメバチVS“まちの便利屋さん” 2日間計6時間の格闘の記録

猛暑の影響で蜂が巨大化し、駆除依頼が急増中。まちの便利屋さん「ベンリー」は、マンションの電気配線ボックスや換気扇、さらには地面の下まで。意外な場所に巣を作る蜂の駆除に奔走しています。
■猛暑で“巨大化”…蜂の巣駆除の依頼が殺到
まちの便利屋さん「ベンリー」の蜂駆除を調べる今回のナルホド調査団。 ベンリーの担当者: 「今年は蜂が大きい。巣が大きく活発化していて、数も増えた状況。早い時期から巣駆除の依頼が殺到しています」
愛知県清須市に本社を構える「ベンリー」は、全国に200店舗以上を展開する生活支援サービス会社。ハウスクリーニングや水回りの修繕など、さまざまな依頼に応えています。(基本料金1時間4400円~)
秋に依頼が多いのは「ガーデンメンテナンス」「ハウスクリーニングや家具の移動」「害虫・害獣駆除」ですが、2025年は特に「害虫・害獣駆除」の依頼が急増。その原因は“蜂”です。秋口に向けて巣が大きくなる時期ですが、今年は猛暑日が続いたことで活発化し、例年より巣の数も大きさも増しています。
■意外な場所で発見…マンションの駐輪場に蜂の巣
一般的に蜂は「天井裏」「軒下」「床下」「木の枝」「植木鉢」など、雨風や直射日光を避けられる場所を好むため、巣を発見しづらいことも多いのですが、今年は珍しい場所に巣が作られるケースも。
名古屋市天白区のマンションからの依頼に同行。マンションの駐輪場へ行ってみると。 ベンリーの担当者: 「この付近に蜂が集まっていると。実は赤色のスイッチボックスの下に」
マンションの裏にある電気配線ボックスの中には「アシナガバチ」の姿が。アシナガバチの毒針は強力で、スズメバチ同様アナフィラキシーショックを起こす場合もあります。 住人: 「自分の部屋に1匹いて。怖くて」 別の住人: 「(蜂がいることを)知らなかった。怖い、取ってほしい」
密閉されたボックス内の様子を小型カメラで確認すると、すぐ目の前に巣が。ボックス下の丸い穴から蜂が出入りしていました。中の配線や基盤を傷つけないよう慎重に開けると、約10センチの巣が出てきました。 ベンリーの担当者: 「巣を取り除けば、蜂は戻ってこなくなる。一番良いのは穴を塞いで入れなくすること」
再び巣を作られないよう、パテで穴を塞いで作業完了。今回の料金は約1万円(出張費含む)でした。
過去の依頼では生け垣の中や軒下で見つかるケースが多く、珍しい例では「エアコンの室外機の中」に巣ができていたこともありました。
■驚きの場所からのSOS…トイレの換気扇に蜂
続いては、愛知県愛西市からの依頼。依頼者は、小さな子どもと暮らす自宅の中で蜂が出現したと訴えます。 依頼者: 「トイレの掃除をしていたら、換気扇の中に蜂がいて」 防護服を着用したベンリーのスタッフが慎重に換気扇のフタを外します。
ベンリーの担当者: 「ドロバチですね。泥で巣を作る蜂。幼虫のためにクモなどを蓄える習性があります」 ドロバチは体長約2センチの黒っぽい蜂で、アシナガバチに比べ毒性は低く、危険は少ないとされていますが、それでも毒針を持っているため油断は禁物です。
ベンリーの担当者: 「空気の出入りをする場所で、フィルターを塞いでしまったりするので。早めに撤去した方がいい」
幸い、すでに蜂の姿はなく、巣を撤去。崩してみると中から羽化できなかったサナギが出てきました。この後、換気扇のフィルター掃除も行い、作業は約1時間。料金は約1万円(出張費含む)でした。
■地面から蜂が…正体は“最凶”オオスズメバチ
続いては、愛知県稲沢市からの依頼。 依頼者: 「蜂が地面から飛んでいるので何かと思ったら、地面に巣を作っていた」
ベンリーの担当者: 「オオスズメバチです。木の根など、地面に巣を作る」 防護服を着て庭に入ると、地面の穴から大きな蜂が出入りしていました。 ベンリーの担当者: 「全部大きい。やはり土の中に巣を作るオオスズメバチですね」
体長5センチにも及ぶ世界最大級の蜂・オオスズメバチ。猛毒を持ち、刺されると激しい痛みや腫れを引き起こし、重症化すれば死に至ることも。まさに“最凶”の蜂です。
地中の様子を確認するため、小型カメラを穴に入れましたが、道が複雑に入り組んでおり、巣は見つからず。薬剤も届かない状況でした。そこで、40センチほどの金属製の網を設置して捕獲を開始。まずは数を減らす作戦です。蜂を誘い出すため、地面を叩いて振動を与えます。 ベンリーの担当者: 「出てきた!まだまだいます」
外を飛んでいた蜂は、ホースに箱を取り付けた特製掃除機や粘着シートで捕獲。近隣住民に被害が出ないよう、慎重に作業を進めます。蜂の数が落ち着いたところで、巣を露出させるため穴を掘りますが、次々と蜂が現れます。 ベンリーの担当者: 「数尋常じゃない」 木の根を切りながらの作業は3時間に及びましたが、巣は奥深く確認できず。新たな工具が必要なため一旦作業を中止し、巣の出入り口をしっかり埋めて様子を見ることにしました。
しかし3日後、再びオオスズメバチが出現。地面には新しい穴が開き、蜂が出入りしていました。今回はより深く掘るため、ツルハシなどの道具を準備。前回よりも明らかに蜂の数が多くなっていました。 ベンリーの担当者: 「秋は急速にオオスズメバチが羽化する時期で、巣に残っていた成虫に加えて、サナギから羽化した蜂が増えたのではないか」
蜂との格闘の末、新たな出入り口を発見。 ベンリーの担当者: 「この辺一体を掘っていきます。(巣は)この真下では?」 作業開始から1時間。ついにスコップが蜂の巣の一部をとらえ、破片が出てきました。 ベンリーの担当者: 「巣の一部です。かなり大きいのが奥にあります」
出てきたのは、大きな六角形の巣穴が500以上ある巨大な巣。2日で計6時間に及ぶ作業の末、ようやく駆除に成功しました。
依頼者: 「妻が庭に出るのを嫌がっていたので、ありがとうございます」 今回の駆除費用は、2日間で約4万円(出張費含む)でした。この夏の異常気象が生んだ思わぬ脅威。蜂との戦いは、暮らしの現場で今も続いています。





