藤井聡太「八冠達成の確率は65%」か 将棋ライターが指摘 一流ぞろいのタイトル戦、ついに開幕
将棋の王位戦七番勝負が7月7日に開幕。現在、3連覇の藤井聡太七冠に挑むのは、佐々木大地七段です。棋聖戦と王位戦はいずれも佐々木大地七段と対戦した藤井七冠。これまでの通算成績は藤井七冠の4勝3敗です。
そこで今回は、将棋ライターの松本博文さんに八冠達成の道のりとともに、2人について詳しく話を聞きます。
【藤井七冠 八冠への道】
●防衛戦 (対・佐々木 大地七段、通算4勝3敗)
・7月18日 第4局→棋聖戦 五番勝負
・7月7日開幕→王位戦 七番勝負
●挑戦
・決定トーナメント決勝
王座戦 挑戦者(対・豊島 将之九段、通算21勝11敗)
王座戦 五番勝負(対・永瀬 拓矢王座、通算11勝5敗)
まずは、6月に始まっている棋聖戦五番勝負と、7月7日に始まる王位戦七番勝負でタイトルを防衛しなくてはいけません。そして、王座戦では藤井七冠はすでに挑戦者決定トーナメントの決勝戦に進んでいて、これに勝って初めて挑めるのが「王座戦五番勝負」です。そこでタイトルを奪取すれば八冠達成です。
王座戦トーナメントの決勝の相手は、一宮市出身の豊島将之九段で藤井七冠の21勝11敗です。最後の難関、王座戦は永瀬拓矢王座との対決。通算成績は11勝5敗です。
「藤井八冠」誕生の確率は65%か
八冠の可能性
――藤井聡太七冠の八冠制覇は、どれくらい難しいことなのでしょうか、また確率はどれくらいなのでしょうか。
八冠は、将棋界ではこれまで1人も達成したことがない記録になります。1996年に羽生善治現九段が、七冠を制覇したことはありました。今、将棋界八大タイトル戦になり、八冠を制覇した人はまだ1人もいません。それぐらい難しいことです。
どれぐらいの確率かというと、現在は七つ獲得していてあとは防衛戦を戦いながら、八つめの王座を獲得できるかという段階になります。私としては、八冠の可能性は65%ぐらいではないかと思っています。
藤井八冠は、90%、100%で決まりであると思っている方も多いかもしれません。しかし、冷静に考えるとこれぐらいではないかと思っております。藤井さんが戦っている相手は、皆さん強い方になります。実際に藤井さんに勝ってもおかしくないような相手ばかりなので、負けても不思議ではないと思います。
勝率
――どういった方と戦うのかということで、強さを見るために勝率を確認したところ、藤井七冠は通算勝率が飛びぬけていますが、皆さん6割後半、7割とかなり高くなっています。
藤井七冠が異次元すぎるので飛びぬけていますが、ほかの3人もすごい記録になります。永瀬王座や豊島九段はタイトルを争いながら7割に近い成績があります。佐々木七段に関しては、クラスはまだ低いですが若手の実力者で7割を超える成績を残しています。いずれも、一流にふさわしい成績だと思います。
――6割を超えるというのは、そもそもすごいことなのでしょうか。
6割を超えれば「一流」といわれる世界になります。上のクラスに行けば、強い相手としか対戦をしなくなるので、その中で勝ち越せばそれは一流になります。その中で、藤井七冠は相手が強い人ばかりなのにもかかわらず、年間勝率8割以上をキープしていて、通算でも8割3分である、これは今まで将棋界にはいない、考えられないほど素晴らしい成績です。
対戦相手
――7月7日から対局する佐々木七段もかなりの勝率でしたが、どのような方なのでしょうか。
佐々木七段は長崎県の対馬出身で、幼い頃に心臓を悪くされて大変なハンディキャップを抱えながら強くなった方です。ご両親が大変理解があり、奨励会という棋士の養成機関に入るために、一家で長崎県から神奈川県に引っ越された方です。師匠は深浦康市九段で、大変な名棋士です。あの藤井七冠に勝ち越している、数少ない棋士の1人です。
――7月7日の王位戦と現在進行中の棋聖戦は、どうなると予想していますか。
それぞれ地元のファンの方をはじめとして、応援されている方が多いと思います。7月7日の王位戦は、愛知県の開催なので普段よりも藤井さんのホームの方の力が入ると思います。その分だけ、藤井さんが有利かと思います。