花を栽培していたハウスで「ウナギ」が育つ!? タンクを使った特別な飼育方法とエサでふっくらおいしく 7月19日と31日は「土用の丑の日」

夏の「土用の丑の日」に向けてウナギ料理店などにとっては今が「かき入れ時」で賑わっています。
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夏の「土用の丑の日」は7月19日と31日。名古屋・栄の「昼だけうなぎ屋」は賑わっています。
(お客さん)
「お昼のウナギが安く食べられると聞いて来た。昼休みを早めて来ました」
「東京から。インスタで見ておいしそうだったので」
「千葉から」
このフランチャイズ展開する店はニホンウナギ1匹をまるまる使ったうな丼が2900円。ひつまぶし上が2600円と相場の半額ほどで提供していて、中区栄の本店も賑わっています。炭火でじっくり焼きあげ、外はパリッ!中はフワッ!と…
(お客さん)
「1分で食べ終わりました。ウナギがフワフワで、お米もおいしかった」
「皮もパリッと焼かれていて大満足」
一方、愛知県津島市の養鰻場を訪ねました。ハウスの中には約8万匹のニホンウナギ。実は、ここでの養殖は去年7月にスタートしました。
(つしま鰻 大塲良太郎 社長)
「もともと花を栽培していたハウス。使われなくなったところを使っている」
元々は後継者不足で放置されていた「農業用ハウス」。ここではシクラメンやハーブを栽培していました。
名古屋に本社を構える情報通信会社の大塲社長は、会社の営業所がある津島市が「消滅可能性自治体」になっていて、他にも放置された農業用ハウスが目立つことから、何とか雇用を創出し盛り上げたいと常々思っていました。
そこへ、ビジネスパートナーたちと相談する中、放置されたハウスを再利用しウナギの陸上養殖を完結させるアイディアが生まれました。
タンクで飼育するメリットとは
大塲社長は出張で度々訪れることがある、お隣の韓国ではウナギの陸上養殖が盛んに行われていて、津島市のハウスでも水質に問題がない水を引けることから事業展開することを決めたのです。
(つしま鰻 大塲良太郎 社長)
「まだ入荷してから1か月くらい、少し大きくなってきている。ここのウナギは全部、他(の養殖場)で大きくならなかったウナギ。資源の有効活用ですね」
実は、このハウスでは1年経っても15センチほどにしか成長できなかった小さなウナギを、全国の養鰻場から買い取って育てています。しかし、飼育の工夫でウナギは大きくできるという大塲社長。一般的な飼育法と違うのは…
(つしま鰻 大塲良太郎 社長)
「大きな違いは(水中に)溶解している酸素の濃度を上げているのと、ポンプでここに水を送っているので水流ができているところが大きな違い」
水温25℃~28℃くらいに保たれたタンクの中で酸素濃度を通常より約2倍にし、流れに逆らって泳ぐウナギの習性を利用した水流を作っているとのこと。この工夫でウナギがエサをよく食べ早く大きく育つといいます。そして、そのエサにも一工夫。
(つしま鰻 大塲良太郎 社長)
「通常の練りエサと粒エサに、地元の『鶴見酒造』の酒かすを入れている」
大塲社長は酒かすに含まれるポリフェノールが、養殖ウナギの健康を保つ効果があると言い、出荷の1~2か月前から与えているそうです。
(つしま鰻 大塲良太郎 社長)
「(ここで育てたウナギの)味は、ふっくらして非常にいいと思う」
初期投資が大きいことが課題
この日は半年ほどかけて育てたウナギを4000匹ほど出荷しました。
(つしま鰻 大塲良太郎 社長)
「結構太くて、いいと思う」
農業用ハウスで立派に育ったウナギたち。課題は資金面です。
(つしま鰻 大塲良太郎 社長)
「初期投資が、やはり大きい。設備だけで7000万円くらいかかっている。少しでも何か補助金でもあるとすごく助かる」