国宝・犬山城が入場料を2倍近く値上げへ 名古屋城では一部エリアを無料に それぞれの背景は?

全国各地で、城の観覧料の値上げが相次いでいます。東海地方の城でも、検討が進む値上げが。一方で名古屋のシンボル・名古屋城では「一部エリア無料」の実験も。その狙いとは?
愛知県の犬山城。1537年、織田信長の叔父にあたる織田信康によって築かれたとされていて、現存する日本最古の天守は国宝に指定されています。
”城マニア”のみならず、全国から多くの観光客が訪れる人気のスポットですが――。
犬山市は、天守などに入ることができる「入場登閣料」を値上げする方針です。
「一般」は550円から1000円に。「小中学生」は110円から200円に(幼児は無料)。
来年3月からの価格改定を目指し、関連する条例案を9月の定例議会に提出するとしています。
値上げ方針の背景は…

大幅な値上げ方針の背景にあるのは、「安定的な財源確保」です。
コロナによる落ち込みから順調な回復を見せている入場者数ですが、この先、入場者数が減ってしまったとしても、史跡の整備や天守の保存事業などの費用を確保し、城の魅力の向上を図りたいとしています。
とはいえ、倍近い値上げとなると観光客にとっては少々痛手。
26日、犬山城を訪れていた人に聞いてみると――。
「交通費も含めると、少し痛手」(愛知県東郷町から)
「国宝だから維持費とかもかかる。年々高くなるし、仕方がないと思う」(群馬県から)
「地域を応援したいという気持ちで、旅行先なので高くても払う」(千葉県から)
「子どもたちの子どもが見られるように、ぜひともそういうところにはお金をとって継続してほしい」(千葉県から)
名古屋城では一部の有料エリアを「無料」に

ところ変わって名古屋城では、「大人500円」の観覧料の値上げの予定はないそうです。
そればかりでなく、一部の有料エリアを11月の1カ月間、期間限定で無料で入場できるようにします。
対象範囲は、イベントなどが行われることが多い西之丸エリアのほか、庭園のある二之丸エリアなど。
「本丸エリア」以外には無料で入ることができます。
「値上げ」とは逆をいくような、この大胆な政策の狙いについて、名古屋市の広沢一郎市長は――。
「収益にはならないが、それでたくさんの人が来て、名古屋城に親しんでいただくことに価値があると思うので」(広沢市長)
無料開放することで、より多くの人に親しみを持ってもらい、さらなる集客を目指すといいます。
取り組みの効果は?

この取り組み、どんな効果があるのでしょうか?
東海地方の観光について研究している、OKB総研の中村紘子さんに伺いました。
「今年の7月には隣接する名城公園内にIGアリーナがオープンして、回遊性を高める。より長い時間滞在することによって、宿泊を含む名古屋の様々な楽しみ方を知ってもらうことにつながると思っている」(OKB総研 上席研究員 中村紘子さん)
観光客の反応は

訪れる人にとってはうれしいこの取り組み。観光客の反応は――。
「(有料だと)2回目来るのはハードルが上がる。無料ならまた来たい」
「2度目行きたくなるかも。無料だと」
「行きやすくなる」
名古屋城一部エリアの無料化は11月の1カ月間、実証実験として行われ、名古屋市は結果を検証後、本格導入するか検討していくとしています。
全国の城で料金改定が相次ぐ
値上げの動きは「犬山城」だけではないんです。
いま全国の城で、料金を改定する動きが相次いでいます。
国内で国宝に指定されている、滋賀県の彦根城、長野県の松本城、島根県の松江城、兵庫県の姫路城の4つの城も、去年から来年にかけて、すべてで値上げが実施、もしくは値上げの方針が示されています。