
季節の変わり目は”かくれ脱水”に注意 不調は脳、消化器、筋肉に起こりやすい 医師が解説

13日、名古屋では5月初の夏日を観測しました。気温の変化に体がついていかないと、怖いのが“かくれ脱水”です。

13日午後3時までの最高気温は名古屋で27.5度、岐阜で27.6度、四日市で25.3度で、名古屋や四日市は5月に入って初の夏日となりました。
こうした季節の変わり目に気を付けたいのが、「かくれ脱水」です。
「かくれ脱水」とは「脱水症になりかけているのに気が付かない状態」で気温の変動が激しい今の時期も陥りやすいといわれています。
熱中症などに詳しい済生会横浜市東部病院の谷口英喜医師に「かくれ脱水」の危険性について詳しく解説してもらいました。
かくれ脱水とは

Q.かくれ脱水とはどんな症状なのか
「脱水症状になる一歩手前の状態が、かくれ脱水。具体的には体重の大体2パーセントぐらいの水分が失われた状態です。例えば体重50キロの方ならば、1キロ(1リットル)の水分が体から失われ、気付かないうちに体調不良の原因になっている状態。このまま放置すると脱水症状になってしまう状況です」
「意外と私たちはかくれ脱水になっているんです。例えば朝起きた時は典型的なかくれ脱水。体がだるかったり、集中力が低下したり、食欲低下したり、手に力が入らなかったり。こういう状態がまさにかくれ脱水の状況。寝ている間に汗で失われた水分がかくれ脱水の原因になって、私たちは朝、水を飲んだり朝食をとったりして自然と毎日回復している」(谷口医師)
Q.かくれ脱水は夏本番ではなく、今の時期に注意が必要
「1年を通じて注意が必要だが、季節の変わり目は人間の体温コントロールがなかなか追いついていないので、水分を失いやすいという危険性がある。したがってかくれ脱水の危険が、この季節の変わり目。特に寒い時期から暑い時期になる時期が多くなります」(谷口医師)
Q.どんな症状が具体的に出るのか
「名前のとおり“かくれ”というから症状が隠れているんですが、自分で振り返ってみると何となく体調不良が起こっている。その体調不良が起こる場所は3カ所。脳・消化器・筋肉の3つは水分がいつもたくさん必要。したがって少し水分を失っただけでも症状が出やすい」
「しかもこの3つの症状が絡み合って出てくる。例えば集中力が低下したり、食欲が低下したり、筋肉の力が入りにくいというのは1つの病気では説明しにくいが、かくれ脱水という兆候では分かりやすい。朝起きた時の症状はまさにこの症状。二日酔いの時の症状もかくれ脱水の症状という風に考えられます」(谷口医師)
隠れ脱水にならないためには?

Q.対策は
「水分をしっかり補給することと、意外と気付かないのが食事をしっかり取ること。私たちは体重50キロの方で1日2.5リットルぐらいの水分補給が必要だが、2.5リットルはとても現実的ではない。どうやって私たちは水分を取っているのかというと、その半分の1.2リットルぐらいは食事から取っている。そして1.2リットルぐらいを水分として飲んでいると考えてもらえれば良い」
「私たちは1回の食事で大体400ミリリットルぐらいの水分がどんな食事からでも取れる。それを3回で1200ミリリットル。そしてコップ1杯150ミリリットル程度の水を1日8回ぐらいに分けて飲んでもらうと適切な水分補給になります。体重が50キロ以上の人や汗をかいた場合はもっと水分を取る必要があります」(谷口医師)
Q.経口補水液を摂取することについては
「経口補水液は脱水症状になった時に取る水分なので、普通に取る必要は全くありません。日常的には緑茶とかウーロン茶、水などが一番適している。カフェインが入っていると利尿作用が気になると思うが、人間の体ってカフェインに慣れやすいので、いつも飲まれている方は緑茶ウーロン茶以外にもコーヒーや紅茶でも水分補給になるので安心して飲んでいただければと思います」
「ただ、ジュース等だと糖分が多いので、血糖値が上がると食欲が下がってしまう。食欲低下して食事をとれなくなったらそれで水分が足りなくなるので、ご褒美程度にしてください」(谷口医師)
チェックリストでかくれ脱水を自覚

Q.かくれ脱水に気付くためには
「簡単なチェックリストがあります。体がだるい、体の痛みが出てきた、体重が1週間で1キロ以上落ちた、尿の色が濃い、食欲が落ちた、この中の1つでも当てはまって、振り返ってみて食事と食事の間に水分補給をコップ1杯以上していなかったら、かなりかくれ脱水のリスクが高いです」(谷口医師)
Q.風邪の初期症状と隠れ脱水は似ているが、混同する可能性は
「風邪の初期症状というのはかくれ脱水そのもの。そして脱水に進行していくので、風邪のときもかくれ脱水を治すためにも水分補給をしっかりしてもらいたい」(谷口医師)