
トランプ関税「15%」で決着 自動車関連産業への影響は? 専門家「15%なら吸収可能では」

「トランプ関税」は15%で合意となりました。東海地方の暮らしにも影響はあるのでしょうか。経済の専門家、三菱UFJリサーチ&コンサルティングの塚田裕昭さんに取材しました。

完全合意が伝わった23日の東京株式市場では、幅広い銘柄で株価が大きく値上がりし、日経平均株価の終値は22日より1396円高い4万1171円となりました。中でも自動車株ではトヨタが14%高。そしてマツダが18%高と大幅上昇となっています。
Q.株価急騰の理由は何でしょう?
「マーケットは22日までは関税が最悪の状態(相互関税25%・自動車関税27.5%)を想定した上での価格形成だったが、それが15%ということでかなり改善し、株価上昇につながったのだと思います」
Q.ある程度先行きが見えたということですか?
「不透明感がかなり払拭されたということで、先行きに対してもやや楽観的な見通しができるようになったのかもしれない」
今回日米交渉の焦点になった自動車関税をみると、日本からアメリカへの自動車輸出にかかる関税はもともと2.5%でしたが、4月にトランプ関税が発動され、現在27.5%かかっています。今後は15%で合意となりました。
Q.もともと2.5%ということを考えると、15%というのは東海経済にとってマイナスではないでしょうか?
「2.5%に比べれば15%はマイナスということにはなるが、対応できない水準ではないと見る人が多いんじゃないか。今の為替レートの水準も146円くらいで、かつてに比べると円安の状況になっているので、それは収益面でプラスになる。そうすると、15%の関税であれば吸収可能なのでないかという見方が広がっている」
「ある程度の賃上げも可能では」

Q.自動車メーカーの利益が減った分を誰が負担するのか。部品メーカーにしわ寄せはないですか?
「それはトヨタ次第だが、トヨタが吸収するのか、ある程度の部品メーカーも多少負担するのか、それはどちらの可能性もあると思う」
Q.冬のボーナスなどはどうなりそうですか?
「昨年度に比べると15%の関税がかかっているから、昨年ほどの大幅な賃上げは見込めないかもしれないが、そんなに悲観的な話でもない。生産もそんなに減らないであろうということを考えると、ある程度の賃上げは可能かもしれない」
Q.それは25%ではなく、15%だからということですか?
「15%であれば、国内生産の急減などにはつながらないということで、ある程度の水準は維持できるのではと思います」
Q.トランプ関税はいつまで続きそうですか?
「トランプ大統領のことだからどうなるかわからないが、とりあえず当面は15%でいくと考えるのが基本ではないか」
Q.その他、日本にとっての不安材料は?
「残っているのはアメリカと中国との関係。中国との関係もいいところに落とし込めればいいが、引き続き(中国への)高い関税が維持されるということになれば、中国経済の停滞が免れない。こうなると日本は中国にも輸出しているから、そっちのほうでのマイナスが生じることはある」