
ミャクミャクは泉に帰る?吉村知事が万博を自己採点

2500万人以上が来場し、184日間の会期を終えた大阪・関西万博。多くの人を魅了した「大屋根リング」や「ミャクミャク」のその後はどうなるのでしょうか。そして、万博の「目玉」のひとつ、夢の乗り物の向かう先は?数々の最新技術が示した「未来への道しるべ」。万博は私たちに何を残したのでしょうか。

大阪府の吉村洋文知事を訪ねたメ~テレ濱田アナウンサー。万博を自己採点してもらいました。
濱田アナウンサー
「会期を通して、手応えとしては、何点でしょうか?」
吉村知事
「はい。『合格点』」
濱田アナウンサー
「100点でくるかと思ったけど変化球」
吉村知事
「気持ちは100点ですけど、でも、やっぱりこれは参加者の皆さんも決めていただくということなので、僕たちはなんとか合格点だったかなと。黒字になったということ」
ミャクミャクの今後

開幕前は赤字も懸念されていましたが、万博協会は10月に入り、230億から280億円の黒字となる見通しを明らかにしました。背景の1つにあるのは入場者数の増加です。万博の一般入場者数は、開幕当初は1週あたり52万5000人ほどでしたが、9月に入ってからは一気に増え、終盤は1週あたり150万人を超えるようになりました。
にぎわいの反面、万博の「予約システム」には不満の声が。予約枠はどこもすぐにいっぱいとなり、お目当てのパビリオンに入れなかったという声も聞かれました。
「できるだけ『並ばない万博』にしようというテーマがあったので、予約をかなりいろんなパビリオンなどの入場で導入した。そこが逆に不便だったっというご意見はその通りだと思う。逆にもし予約を全くしていなかったら、ものすごく並ぶことになっていた」(吉村洋文知事)
吉村知事は予約システムを使うことによって、休日の来場者数と平日の来場者数を平準化できたと一定の成果も強調しました。
気になる万博閉幕後のことについて質問しました。
「今後見られるレガシーとして残るものは今どんなものを想定していますか?」(濱田隼アナウンサー)
「まず大屋根リングについては一部、あの形であの形状であの造形美で、上を歩ける形で、緑地公園として残す」(吉村洋文知事)
全長およそ2キロの「大屋根リング」。北東に位置するおよそ200メートルを残し、周辺を整備する方針が示されています。また、木材の一部は、石川県珠洲市の復興住宅などの建設資材として再利用されるということです。
「ミャクミャクはどうなるんですか?」(濱田アナ)
「非常に人気で、その先のストーリーは謎のままですね」(吉村知事)
20年前の愛知万博では、「モリゾー」と「キッコロ」は閉幕とともに、森に帰っていきましたが、「モリゾーとキッコロが森に帰るのは、面白いストーリーですよね。そうなると、ミャクミャクも”泉”に帰るというストーリーも面白いですよね。ミャクミャクにも『どうする?泉に帰る?現世でずっといる?』と聞いてみます」(吉村知事)
「万博おばあちゃん」も注目
20年前の愛知万博に毎日通い一躍有名になった、愛知県瀬戸市の山田外美代さん(76)。今回の万博も皆勤賞。地元の瀬戸市には帰らず、大阪に借りた部屋から毎日会場に通いました。
「強烈に残っているのは、人間の洗濯機、バブルのお風呂」(山田外美代さん)
では、今回の万博で山田さんが”残したいもの”はどんなものなのでしょうか。
「入場した人の気持ちと、物で言うと、この大屋根リング。ぜひ残してほしいと思っていたら、一部残すという報道があってよかったと。このリングのすごい所は、リングってどこから始まってどこで終わりがない。地球は最初がなくて終わりがない1つの輪っかで囲まれているというのを強調していてレガシーが受け継がれるのはうれしい」(山田外美代さん)
話題を集める「null2」の未来
鏡張りの外観が来場者の目を引く、「null2」(ぬるぬる)は、メディアアーティストの落合陽一さんが手がけた作品です。
「圧倒的な没入感と視覚的なインパクトがありました。毎回毎回入る人、登録する言葉で演出が変わるので、その瞬間しか味わえない空間がありました」(濱田隼アナウンサー)
人気のため、中に入れなかった来場者も多くいたとして、新たな場所に再設計・再構築する計画が進められています。クラウドファンディングで資金協力を呼び掛けたところ、わずか1日で1億円を突破したといいます。ひょっとしたらこの先、東海地方でも「null2」が体験できる日がくるのかもしれません。
クルマの未来
大阪・関西万博で注目を集めた「空飛ぶクルマ」。会期中は「デモ飛行」にとどまり、来場者を乗せた商用飛行は実現しませんでしたが、渋滞を気にせずに移動ができる、次世代の空の乗り物は、万博を機に開発がさらに加速しました。
「反響はかなりいい。万博を一通り回った人の締めに来てくれている人が多くて『最後に日本の未来が見たい』と」(現場ディレクター 村田康一さん)
この”空飛ぶクルマ”を開発したのは、愛知県豊田市に本社がある「スカイドライブ」です。操縦者を含めた3人乗りで、最高速度は時速100キロ。燃料補給なしで、およそ15キロ移動することができます。この乗り物が私たちを乗せ、自在に行き交う社会の実現は近いのでしょうか。
「商用飛行に向かう大きなステップとして、世の中の人に空飛ぶクルマというのを実際に見て感じていただけたというのは、社会実装に向けて、すごく大きな成果だと思うし、開発、運航という点でも、たくさんの人の前で実際に飛ばす経験をしたというところが、ものすごく大きなステップだったので、収穫としては大きかったです」(スカイドライブ エアモビリティ統括部長 福原裕悟さん)
会場では、延べ140万人が空飛ぶクルマの展示を目にしたといいます。
「関係する国、自治体全員が協力しあって実現するという点で、ものすごく(開発が)加速しました」(スカイドライブ エアモビリティ統括部長 福原裕悟さん)
2028年には決まった拠点を結ぶ遊覧飛行をスタート。例えば九州の湯布院と別府をおよそ15分で結ぶ計画が検討されています。
「この地方でも乗れるチャンスは?」(濱田アナ)
「あります。まだ公表してないですけども2028年以降の数年以内には。愛知県でも使って頂けるチャンスがある」(スカイドライブ エアモビリティ統括部長 福原裕悟さん)
スカイドライブが目指すのは、パイロット無しで空の移動ができる未来社会。福原さんは今回の万博を経て、目標の達成度は60パーセントに。3年後には80パーセントを実現できるといいます。
「今100って言っているのは、本当にパイロットがのってなくても遠隔あるいは自立で飛べるっていうふうなところなので、2030年代半ばぐらいまで行けば100点かな」(スカイドライブ エアモビリティ統括部長 福原裕悟さん)
利用料金については、2028年では10分間の飛行で数万円に。さらには・・・
「30年代半ばには、もうほぼタクシーの運賃と変わらない。選択肢として地上の移動、空の移動というのが、いろんな人にとって、どちらでも選べるようになる時代」(スカイドライブ エアモビリティ統括部長 福原裕悟さん)
大阪・関西万博で残された”レガシー”、そしてさらに発展していく技術。この先10年、20年先にはどんな社会になっているのでしょうか。